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人口・少子高齢化 不正・事件・犯罪 週刊現代

家族がひかれてしまうケースも…高齢ドライバー「恐怖の世界」

それでもまだ運転しますか、させますか

高齢者の運転ミスによる交通事故が毎日のように報じられている。自分の運転能力を過信した挙げ句、事故を起こして他人の命を奪うことはあまりにつらい。人生の最晩年、免許返納も選択肢の一つだ。

厳罰化が進んでいる

「父は高齢ですから、私は常日頃から『自分だけの問題じゃない。事故を起こせば長男の俺の責任にもなるんだよ』と注意していました。車のドアミラーを壊して帰ってきたこともあり、『乗るな』と口を酸っぱくして言い続けていたんです。

父はそれでも聞かなかった……もう、タイヤの空気を抜くしかないと思っていた矢先でした」

沈痛な表情で本誌にそう語るのは、女子高生2人を巻き込む交通事故を起こした、群馬県前橋市在住の川端清勝容疑者(85歳)の長男である。

1月9日、同市内の見通しのよい一般道で、川端容疑者が運転する車は、センターラインをはみ出し、対向車と接触。そのまま反対車線を逆走し、自転車に乗っていた女子高生2人をはねてしまった。

彼女たちは始業式に向かう途中で、現在も重体のまま、入院中である。

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「気がついたら事故を起こしていた」

過失運転傷害の疑いで逮捕された川端容疑者は取り調べではそう供述している。川端容疑者の長男が続ける。

「父は車屋(自動車の整備工場を経営)だったんです。だから『車のことは俺に任せろ』と。昔気質の職人だから自分を曲げない。母親も80代ですが、私が諭して数年前に免許を返納しています。

警察からは『認知症だったんですか?』と聞かれました。でも、高齢者を抱えている家族なら分かると思うんですが、どこからが認知症かは分からないんです。

明確な症状があったわけではないので、私には『そうではなかったと思います』と答えることしかできません。

ただ、私は事故現場の防犯カメラの映像を見て、父はブレーキとアクセルを踏み間違えたんだろうなと感じました」

家族は悔やんでも悔やみ切れない。過失運転致死傷の法定刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金である。

 

交通事故に詳しい、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長の高橋正人弁護士が言う。

「前橋市の事故の加害者はこれまでにも自損事故を起こしていて、家族に止められていたのに運転した。被害者が2人もおり、いずれも重体。

重体の場合、死亡相当として判決が下されることもあります。実刑は免れないでしょう。禁錮3年以上の可能性があります」

'16年12月にさいたま地裁は、当時15歳だった女子高生を車ではねて死亡させた80歳男性に、禁錮1年6ヵ月の実刑判決を言い渡した。

事故の原因は、前方不注意に加え、アクセルとブレーキの踏み間違い、ハンドルの操作ミスだった。近年は高齢者が起こす交通事故に対して、裁判所が厳しい判決を下す傾向がある。

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