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中国の「地方」で月1万円生活を送る70歳が見た、あの国の現実

北京には行ったことありませんが…
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中国生活30年、北京には行ったことありません

筆者は、今年70歳になる貧乏ライター&カメラマンです。中国を活動の拠点にして、今年で31年目に入ります。

中国語は決して達者ではありません。多くの日本人観光客が訪れ、在中国企業やメディアも拠点をおく首都・北京にも行ったことがありません。ですが、日本人があまり足を踏み入れないであろう、中国の「ド田舎」や「秘境」には数え切れないほど訪れています。

昨年は、都合8度中国に渡りました。目的は、中国に棲む野生生物の撮影・調査です。

といっても、「中国の自然」を知ることが最終目的ではありません。筆者は日本人なので、中国大陸の自然を知ることを通して、日本の自然の本質や成り立ちを知りたいのです。日本の自然を知るためには、「マザーランド」ともいうべき中国大陸の自然を知ることが不可欠です。

中国を調べ終わったら、次はインドネシアかどこかに転進しようと考えていたのですが、知り得たことは、まだほんのわずか。途中で投げ出すわけにもいかず、最近は「このまま中国の田舎に骨を埋めることになるのか」と、半ば覚悟を決めています。

さて、こうした仕事上の「高尚な」目的とは別に、筆者には中国で1年のほとんどを過ごさねばならない、「のっぴきならない事情」があります。おカネの問題です。

1980年代末から90年代半ばにかけて、週末にレジャーで海や山へ出かける人が激増し、「アウトドアブーム」が巻き起こりました。筆者も、人気の高かった屋久島の自然を数多く撮影し、当時は何誌もあったアウトドア雑誌や週刊誌、時には全国紙に作品が掲載されることもありました。ギャラは、いまとはケタ違いでした。

しかし、雑誌・新聞の崩壊が進みゆく現在、南の島や中国・東南アジア奥地の自然写真を二つ返事で掲載してくれる、奇特な大手メディアはほとんどなくなりました。売り込みに行っても、相手にもされず追い返されるのがオチです。

この原稿を書いている今も、必死で考えています。明日の便で香港に向かおうか、もうしばらく日本に留まるか。手元の現金は5000円を切りました。次に原稿料が振り込まれるまでの2週間、5000円でしのぐのは不可能です。

しかし中国に行けば、5000円あれば十分に暮らせる(飛行機代は、現地に住む中国人のアシスタントMにとりあえず借りる)し、仕事も進めることができます。筆者が日本で借りているアパートには、シャワーも炊飯器もないけれど、中国の拠点には大抵の生活必需品が揃っています。3万円あれば、1カ月は余裕で暮らせる…。

ということで、中国に行く「真の目的」は、ぶっちゃけた話、生活費が安いからなのです。

 

日本に比べれば天国

日本に滞在している時は、無料でWi-Fiが使えるスターバックスコーヒーを事務所代わりにしています(この原稿もそこで書いています)。

朝に東京郊外の自室を出て、電車で3駅離れた町へ移動。松屋の朝飯定食350円を食べ、駅前のスタバへ移動すると、その後は朝9時の開店から夜11時の閉店まで、税込み302円のドリップコーヒー一杯で粘る(申し訳ないので162円でお代わりすることもあります)。

食費に交通費、水道代、電気代、電話代(携帯電話を持っていないので公衆電話!)などを合わせると、なんだかんだで1日2000円〜3000円くらいは必要です。年金3万5000円は家賃に消えます。1カ月日本に滞在すると、10万円以上かかる計算です。

これが中国なら、1/3ほどで済みます。中国では、つい数年前までは中国各地のユースホステルを常宿としていました。昆明など地方の中心都市では、ドミトリー1泊が約500円で、1カ月滞在すると1万5000円。Wi-Fi、シャワーなども完備されています。食事は近くの食堂や屋台で、焼きそばや焼き飯が100円~150円ほどで売られています。

さらに小さな地方都市(といっても人口100万人以上だったりします)に行くと、駅前のかなり高級なホテルの個室でも1000円~2000円。日本なら1万円は取られるでしょう(しかもおおむね清潔です)。

東京-香港の格安航空チケットは、通常1万円前後(閑散期だと6000円ほどに下がります)で、往復運賃を合わせても、日本の生活費の半分くらいです。

香港から深圳方面を望む(筆者撮影)

現在筆者は、広東省の省都・広州の郊外に部屋を借りています。光熱費や水道代、Wi-Fi込みで家賃は月1万円。原則として、ノービザ滞在の外国人が中国国内で部屋を借りることはできないのですが、前述したアシスタントMが親切にも自分の名義を使い、家族が住むアパートの隣の棟の部屋(居間+寝室+キッチン+トイレ)を借りてくれたのです。

アシスタントは、布団や炊飯器も揃えてくれました。冷暖房もない日本の安アパートに比べれば天国です。何より、日本では筆者のような老人の一人暮らしには孤独死の恐怖がつきまといますが、その心配もありません。

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