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医療・健康・食 ライフ 週刊現代

家族と「最高のお別れ」をするためには、これだけ準備すれば大丈夫

笑ってサヨナラするために

「事前指示書」を書く

穏やかな最期、家族や友人と笑ってお別れする。悲しいけれど、どこか明るい旅立ち。それは多くの人の願いだろう。

しかしこれまで見てきた通り、上手に死ぬのは難しく、望み通りの最期を迎えられる人は多くない。ただ、事前に自分の終末と死後について様々な「準備」をしておけば、その可能性を高めることはできる。

まず何より重要なのは、終末期や死後について自分の希望を明確に伝えておくこと。

なかでも、不本意な延命治療を受けながら最期を迎えないための指示をしておくことが大切だ。自分が望む治療を受けて旅立てれば、周囲も納得して見送ることができる。

「終末期の治療行為について、自分の思いを医師や家族に伝えるため、元気なうちに『事前指示書』を書いておくことには大きな意味があります」(長尾クリニック院長の長尾和宏氏)

 

事前指示書は、自身が終末期を迎えた時にどんな治療を受けたいかを指示しておくもの。胃瘻の造設、鼻チューブで栄養を入れるか、心肺蘇生はどうするか、鎮痛剤を使うかといった点について、事前に希望を伝えられる。

指示書を利用しておけばよかったと後悔した例をご紹介しよう。埼玉県に住む藤田祥子さん(58歳・仮名)は、自分の父親の最期をこう振り返る。

「2年前の11月、当時85歳の父が自宅で転倒し大腿骨を骨折しました。母と二人暮らしでそれまでは大きな病気一つしたことない健康な人で、私たちも慌ててしまった」

70代は大手術を避ける

近くの病院で手術をし、それ自体は成功したが、術後に普通食を摂ったところ誤嚥性肺炎になってしまった。

「食事を摂れず、当初は『末梢静脈点滴』を行いましたが、12月になってから胃瘻を造設するかどうかを医師に問われたのです。父は鎮痛剤の影響などで判断できない。

悩みました。食べ物を口から入れられない状態で延命しても、父を苦しめるだけになるのではないか。一方で、自分が親を死なせる判断をしてしまっていいのか、と」

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藤田さんは最終的に胃瘻造設を決める。実の父親の命を奪う決断をすることはできなかった。

「その後、胃瘻をした父を、病院から有料老人ホームに移しました。しかし、施設の隅で管に繋がれている姿を見ると、父は本当にこんな終末を望んだのだろうかと問わずにはいられませんでした。結局、意識もぼんやりしたまま、父は半年後に亡くなりました。

その後、『事前指示書』の存在を知って、生前それを父に書かせていなかったことを後悔しています。もし父の生前の意思に沿った判断をできれば、気持ちよく笑って見送ることができたのではないかと思うのです」

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