Photo by iStock
医療・健康・食 ライフ 週刊現代

これは怖い!60すぎて初めて「うつ」になる人急増中

家族は認知症と勘違い 

外出する気が起きない

埼玉県で働く医療コーディネーターは、同県に住む木下猛さん(70歳・仮名)について振り返る。

「公務員として働いてきた木下さんは、部下とよく飲みに行っては相談に乗る親分肌の方でした。60歳で公務員を定年退職。

奥さんを若い頃に亡くして子供たちも独立していたので、退職後は独り暮らしでした。楽しみは近所にある理髪店でマスターと会話をすること。用事がなくてもその店で無駄話を楽しんでいた」

 

しかし、2年前にそのマスターが亡くなってしまった。木下さんが変わったのはその頃だった。

「木下さんは『年を取ると楽しいことがないね』と外出が少なくなりました。食事はコンビニで買ったインスタントのカップ麺や味噌汁ばかり。テレビも見ずに部屋で寝転がっている。

掃除や洗濯も億劫になったようで、家が徐々に荒れ、同じ服を着ていることが増えました。そこで親戚が『ちょっと変だから』と私に相談をしてきたのです」(コーディネーター)

Photo by iStock

外出する気が起きない、食事をするにしても義務感で食べているだけ、掃除や洗濯ができなくなった――木下さんの状況に思い当たる節がある人は少なくないだろう。

千葉県に暮らす富永道夫さん(75歳・仮名)の姿に自分を重ねる人もいるのではないだろうか。富永さんの長女が言う。

「父は長年小さなOA機器販売会社の社長を務めていました。60歳をすぎても深夜まで働く『昭和の男』でしたが、70歳の時に引退して、母と一緒に眺めのいい小さなマンションに引っ越しました。娘の私とも孫たちとも仲がよく、いかにも幸福な老後を過ごしていたように見えました。

ところが2年前の冬頃から急に家に引きこもるようになり、それまで続けていたゴルフや麻雀に興味を示さなくなった。

『俺はもうダメかもな』などと言うようになり、テレビにも興味を示さなくなった。『出かけようよ』と誘っても『別にいいよ』。年齢のせいかと半ば諦めていました」

若い頃は溌剌としていたのに、その意欲がすっかり失われてしまった。でも年も年だし、ある程度は仕方がないか……周囲にはそう思われていた木下さんと富永さんだが、実はともに「老人性うつ」だった。