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KEIKOと同じ高次脳障害の僕が、小室哲哉不倫疑惑報道に感じたこと

彼を責めることなんて、絶対にできない
鈴木 大介 プロフィール

残酷なのは、高次脳機能障害による記憶障害と言えば病前の自分を完全に忘れちゃうみたいな重い程度のものばかり語られがちだけど、実際は多くの場合病前に「病前にやれていた自分」の記憶がしっかりと残っていること。

病前に歌えていた記憶がなくなっているわけではない。ましてKEIKOさんは歌い手の頂点にたった経験者。思い通りに歌声をコントロールできない苦しさと絶望は、いかほどのものだったろうか。

高次脳機能障害は長い長い時間をかけて徐々に回復していくものだが、恐らくKEIKOさんもゆっくりと歌声を取り戻してはいるのだと思う。昨年夏に小室さんはインスタを通じてKEIKOさんの歌声を投稿。

「発症後、より一層桂子は理解を深めている。最近、今の私にあった曲なら唄えるよ~とも。 桂子がKEIKOになれるかもと、、僕こそ信じないとね! 」などとコメントも投稿していた。

photo by gettyimages

だが、そうして文字通り寄り添う日々も、小室さんが著作権関連の詐欺事件騒動から音楽業界に復帰していく中で、小室さん以外の支援者の手にゆだねなければならない時間が増えていった。そのことについて、小室さんは会見の中でなんども苦渋の表情で触れた。

KEIKOさんへの寄り添いと、かつてトップを走った楽曲作りへの復帰と、どちらも諦めることができずに闘い続けている中で、自身のC型肝炎の闘病(小室さんは独りで闘病したと吐露した)もあった。

ここでバーンナウトしてしまった小室さんを責めることは絶対にできない。小室さんの口からは「確実に僕の甘え」といった言葉も頻出したが、その都度涙がこぼれそうになった。絶対にそれは、甘えなんかじゃない。

 

高次脳は離婚率が高い

実は、高次脳機能障害を負った者の離婚率は高い。統計として出ているわけではないが、支援する家族が障害を理解しきれずに攻撃的になってしまったり、介護の中で燃え尽きてしまった結果、一家離散のケースも多いというのは、高次脳に携わる現場から重ねて聞く言葉だ。

小室さんにしても、はじめからKEIKOさんを支援することを諦めて離別の道があったかもしれない。けれども彼は何もかも諦めず、その結果として、あの会見の姿となった。ひとの苦しみを無視できない小室さんだったからこそ、あんなにヨレヨレになるまで頑張ってしまったのだろう。

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