伸び悩む業界(3) 金融

製造業と密接な関係を持つように解釈されることが多いIoTは、金融業界とは一見大きく関係しないように捉えられがちだ。

そのため、図1では今ひとつ市場規模の伸びが顕著になっていないが、図2、3においては相応の規模感が期待されている。

車両や設備の利用状態をモニタリングすることで保険料を柔軟に変化させるUBI(Usage Based Insurance)の導入や、ブロックチェーンによるIoTデバイスの認証、センサーからの情報に応じた柔軟な決済手段の提供などは、金融業界に期待されるところも大きい。

Photo by iStock

今後はIoTはIoT、金融は金融といった独立した検討ではなく、トータルなビジネスモデルとしての検討が進むことで市場規模は拡大することが期待されるだろう。

伸び悩む業界(4) 住民サービスや上下水道

公共領域全体を見回すと、図2、3に示すように相応の市場規模が見込まれているが、IoTを活用した住民サービスや上下水道に関しては市場規模が大きく伸びるとは想定されていない。

その理由として、独居老人の見守りや無料のルートバスの位置情報の把握と到着予測など様々なサービスが考えられてはいるものの、いずれにせよ住民サービスでは高額な課金が考えられず、結果として大きな投資が想定されないことによる。

 

また上下水道に関しても設備メンテナンスをセンサーなどをもちいて効率化する取組は始まっているが、老朽化設備などにとどまり、当面は大きなIoT投資が発生するとはみこまれていない状況だ。

このように困っていることは多々ある業界であっても、現時点での市場が小さすぎたり、IT/IoT投資に割ける予算が極めて小さい場合には、市場が大きくなりにくいと言えるだろう。

*    *    *

今回は各種資料や、実際に大手企業へのアドバイザリや提案討議の場で遭遇する経験事例、および地方自治体に講演やアドバイザリで数十カ所訪れた経験から実際の現場での課題に即した解釈・解説を行ってきた。

しかし、2020年のオリンピック/パラリンピックまでの予測と、それ以降とでは大きく投資金額や投資される領域も変わってくると予想されている。今後の動向は見極めていく必要があるだろう。

とはいえ、当面はIoTやAIを活用した省人化やデジタル・ツインの実現が、様々な現場で必要とされている。

人口が減りゆきつつある日本においては、今後は前述の市場規模や成長性だけに惑わされることなく、業界別・地域別といった共通プラットフォーム化などで導入効率をあげて、課題解決ができるような工夫が期待されるのだ。