伸びる業界(3) 製造

日本はものづくり国家と言われるように、やはり製造業はIoT市場の規模感としても非常に大きな可能性があると予測されている。

実際に筆者が関与しているアドバイザリ先にも大手製造業のクライアントが多く、ドイツのIndustrie4.0のトレンドに追いつけ追い越せと、つながる工場、データ中心のシミュレータブルなオペレーションで操業するデジタル・ツイン(物理空間での工場・製品の動きを、デジタル空間にリアルタイムで再現すること)の実現、生産性の向上、蓄積データの活用プラットフォーム化などを掲げて、IoT化に取り組んでいる企業が後を絶たない。

Photo by iStock

部品点数やバリューチェーンが長い製造業は、様々なモノゴトをつながないといけないIoT化の宝庫である。

例えば、3D化された設計業務とまだまだアナログのままの業務の生産工程、トラブルが発生すると保守メンテナンス要員が多数ラインに出ていき正常系と異常系に大きな乖離があること、工場出荷の後からも顧客先でセットアップや稼働調整をしなければならない場合もあるなど、様々な関与者を巻き込んで価値を提供するのが製造業の特徴だ。

かつてFA(Factory Automation)に投資した企業であっても、この10年でビジネス界で使われるテクノロジーのメイントレンドとなった第3のプラットフォーム(モバイル、クラウド、ソーシャル、アナリティクス)をフルに採用・実装して、スマートにデータを収集・分析・活用しながら運営される環境を実現した工場は聞いたことがない。

今後はこのようにスマートな工場、スマートな需給調整、スマートな設計から生産・出荷後のフォロー、取得できたデータの流通・課金までを実現する領域に、IoTはどんどん導入されていくことが期待される。

伸びる業界(4) 物流

物流業界は生き馬の目を抜くほどの苛烈な競争にさらされると共に、荷主からのプレッシャーが最も強い、近年注目されている業界である。

 

Amazonに代表されるオンライン上のECビジネスが成長すればする程、オフラインの物流にしわ寄せが来ることが近年の教訓となっている。いかに省人化するのかという課題は、もはや事業生命線と言っても過言ではないほどだ。

安価なRFIDのような無線タグを商品全数に付けようとする取組もかねてから悲願となっていた。いよいよ数年後には導入のめどがつくという期待感も出てきており、予測期間内の導入が始まることが市場規模にも反映されている。

また車両・ドライバー・荷物のIoTによる遠隔モニタリングなどは既に相当数導入実績も生まれており、それが当たり前の世界になってくることが予想されている。

伸びる業界(5) エネルギー

エネルギー業界は電力の自由化など規制緩和によって新規に発電事業に参入できるのみならず、家庭に設置した太陽パネルでの発電電力を蓄電・売電したり、家庭や事業所のエネルギー消費量を可視化・最適化するといった取組を、センサーとネットワーク化による遠隔監視などで実現する領域に期待がかかっている。

石油やガスといった燃料を地域SS(サービス・ステーション)のような消費地へデリバリする際の需給最適化なども、多く相談がある事案だ。また電気自動車向けの充電スタンドを、それら燃料の代替手段として設置するビジネスの相談も多い。

すなわち、電力・石油といったエネルギー供給の業界全体にまたがってネットワーク化する、つながるビジネスにしていくことが期待されている。