photo by iStock
国際・外交

「北朝鮮危機、わが国はこう向き合う」在日ロシア大使・最後の提言

過去最大の緊張感が漂う中で
このエントリーをはてなブックマークに追加

2012年に大使として来日、昨年12月に母国へと帰った、在日ロシア特命全権大使エブゲーニー・アファナシェフ大使。「したたかで狡猾な外交官」とも評される大使の帰国直前に、NHK解説委員を務めロシア事情に精通するジャーナリストの石川一洋氏がインタビューを行った。

前編では、安倍総理とプーチン大統領の関係、日ロの経済発展について語られたが、後編では北朝鮮問題、そして日ロ関係の未来に話が及んだ――。

前編はこちらから

北朝鮮危機は過去最高レベル

日本とロシアにとって、現在愁眉の安全保障上の関心事は北朝鮮の核とミサイルの問題である。

ロシアは中国以上に北朝鮮に対して融和的な姿勢を示し、プーチン大統領は「北朝鮮は草を食ってでも核兵器を持とうとするだろう」と述べて、圧力のみでは解決しないとの姿勢を鮮明にしている。軍事的な圧力を強めるアメリカ、圧力をかける時期だとする日本とはロシアのスタンスは大きく異なると言わざるを得ない。

――北朝鮮の核とミサイルの問題が非常に懸念される。この問題で日本とロシアの立場の一致点と相違点は何か。そして日本、中国、アメリカ、ロシアの4か国は北東アジアの安全保障について重大な責任を負っているが、この日米と中露はなぜ北朝鮮の非核化で協力よりも立場の相違が目立つのか?

大使「日本、中国、アメリカは北東アジアの安全保障、さらにアジア太平洋の安全保障に非常に大きな役割を果たしている。ロシアとしてはすべての大国の間で、正常な、いや友好的な調和した関係が築かれることを望んでいる。ロシアの極東の経済発展のためには、北東アジアの平和が必要不可欠だからだ。わが指導部はロシア極東の発展を21世紀の戦略的な目標としており、そしてこの地域にあるあらゆる国々と協力関係を築きたいと思っている。

しかし、残念ながら北東アジアの大国の相互関係は理想的とは言えない。多くの原因があるが、第二次大戦後、太平洋地域では、それぞれの国が心地よく思えるような、総合的な多国間の安全保障と協力の枠組みが築かれることはなかったことが主要な原因のように私は思う。

 

冷戦終結から30年が経とうとしているのに、幾つかの国はいまだに自らの安全保障を確保するのにブロック思考的なアプローチを進めている。しかしこうした国のおかげで、この同盟の枠外にいる国々は「危険地帯」にいるような心地がして、(北朝鮮の事例のように)時に極端なまでの、彼らの言うところの対抗措置を取ったりするのである。

我々は地域の安全保障についての議論は絶対に必要だと確信している。その目的は、残念ながらすでに進行している軍備拡張と対立への渦巻きが、この地域でさらに進行することをストップさせることだ。

【PHOTO】gettyimages

まだ修復不可能な行動は取られていない今だからこそ、我々は緊張緩和への努力をしなければならない。私の知る限りそのような努力は東アジアサミットでも行われているし、我々はすべての関係国にいっそう積極的に参加するよう求めている。

現在、朝鮮半島における軍事衝突の危険性はかつてないほど高く、不用意な一歩が取り返しのつかない結果をもたらすかもしれない。ロシアはこれまで同様、アメリカと北朝鮮が、そしてほかの関係国が、何とか対話を始め、そしてこの地域の危険な状況から平和的に抜け出す道を見つけることができることを期待している。この人口が密集した地域で、軍事的な解決は、絶対にありえない。

ロシアは、国際社会と同様、平壌が国連安保理決議に違反して、核、ミサイル実験をすることを非難する。そして北朝鮮の核への野心を承認しないし、北朝鮮がすべての禁じられた計画を放棄するよう呼び掛けている。

【PHOTO】gettyimages

北朝鮮に関する国連安保理決議を完全に順守する。しかしながらすべての国際社会にとって明らかなように、制裁と圧力のみでは問題を解決することはできない。

記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク