改革の一環で行われた「制服改革」の経緯とは。写真提供/品川女子学院
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廃校危機の女子校を救った校長が語る「人を動かす4つの法則」

制服改革はこうして進められた

グループのリーダーとして何かを変えようとするとき、思い通りにメンバーが動いてくれなくて困った経験はありませんか?

私が20代でプロジェクトリーダーのような立場になったときもそうでした。そのときの経験から、人が動いてくれない理由には大きく四つあると気づいたのです。

一経営の危機にありながら、7年間で偏差値を20ポイント以上もアップ、入学希望者を60倍に跳ね上げた、品川女子学院の漆紫穂子さん。前回の記事「廃校危機だった女子校を倍率10倍の『人気校』に変えた驚きの改革」では具体的な改革の流れを教えてくれた漆さんが、著書『働き女子が輝くために28歳までに身につけたいこと』にも書かれている「4つの理由」について、同書からの引用とあわせて語ってくれた。

なぜ制服を変えたのか

理由① 情報を知らない

人が動いてくれない理由、その一つ目が、「情報を知らない」です。そもそも、なぜ改革が必要か知らないのです。

1990年に変えた制服を例にとってみます。これは学校改革の氷山の一角ですが、目に見えて分かりやすいかと思いますので。

私が、この学校に赴任してきたとき、何人もの生徒から

「この制服、変えてほしい」

と言われました。

高校の制服を紹介したベストセラー本に、当時の本校の制服が「セーラー服の化石」と評されたこともあり、近隣の中高生に指をさされる、誇りをもって着られないとのことでした。

思春期の女子中高生にとって着る物はとても大切。まして制服はどこの学校かすぐにわかり、毎日身に着けて歩くものなので、自己のアイデンティティーを表すようなもの。生徒がそんな思いをしていたことを知り、悲しくなりました。

そこで周囲を説得し、5、6人の検討委員会を作りました。

デザイナーに頼まず自分たちでデザインし、さらに直接、学生服メーカーに発注することでコストダウンを図りました。その結果、新制服は生徒に大好評。メディアでも取り上げられ、話題になりました。

けれど、とんどん拍子に事が進んだわけではありません。計画当初は、

「制服をブレザーなんかにしたら、ますます学校の人気がなくなるわ」と心配する年配の教員もいました。理由を尋ねると、「私は卒業生でしょう。この学校を選んだ理由は、セーラー服が可愛いかったからよ」と言うのです。他にも、「こんな派手な制服では、お葬式に着ていくときどうするの?」

という反対意見もありました。なぜ制服を変える必要に迫られているか、その理由を「知らない」のです

 

「生徒が主役」と校長はいつも言っていましたから、まず子どもたちの話に耳を傾けました。そこで、セーラー服は着たきり雀になるし、夏はエリが暑くて冬はウエストが寒いとの子どもの声を取り入れて、着やすく、着心地がよく、体温調節ができてかっこいい制服を目指そうということになりました。

このとき気づいたのが、情報共有の大切さです。

一般にリーダーはメンバーより早く、より多くの情報を得る立場にあります。それで優位に立ち、チームをコントロールしたいという気持ちも生じがちです。

しかし、持っている情報に差があると、判断も異なってきます。チームをまとめるためには、情報は独り占めにするのではなく、むしろみんなでシェアしたほうがいいのです。

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