軍事的常識が欠如した
鳩山首相に「宰相の資格」なし

海兵隊の訓練でも視察してみればどうか

 沖縄の普天間基地移設問題で、鳩山政権の迷走が続いている。

 「最低でも県外」と言った鳩山首相は約束を守ることができず、沖縄県民の怒りを買った。これまで辺野古移設を容認してきた仲井真沖縄県知事や自民党の沖縄選出国会議員なども「県外移転」を主張せざるをえなくなった。また、移転先とされた徳之島でも反対運動が盛り上がっており、島の三町長も反対を表明している。

 その結果、内閣支持率は急低下している。直近の世論調査では、読売新聞(5月7~9日調査)では、支持率24%、不支持率67%に達している。

 また、フジテレビ(5月6日調査)でも、支持26%、不支持67%と同様な結果が出ている。このままの傾向が続けば、参議院選挙は民主党にとってきわめて厳しいものとなろう。

 しかし、このような事態に至っても、自民党も支持率で民主党を超えることができず、読売新聞では自民党14%、民主党22%、フジテレビでは自民党12.8%、民主党16.8%である。参議院選挙では、自民党もまた負けるということである。

 そもそも普天間問題の混乱の背景には、安全保障について、最低限の知識が国民、とりわけ政治指導者の間に共有されていないことがある。首相が国会の施政方針演説で「命を守りたい」と繰り返すのならば、国民の生命と財産を外国やテロリストの攻撃から守らなければならない。

 そのためには、国家の安全保障が不可欠となる。外交や安全保障に関する基本的知識がない政治家は内閣総理大臣になる資格はない。

 普天間基地にかぎらず、軍事については、まず軍事的観点から論ずべきである。そのためには、想定しうる危機の態様について、国際情勢をきちんと分析しなければならない。北朝鮮は核兵器の保有を誇示しており、日本を射程とするミサイルも装備している。

 そして、この独裁国家はいつ崩壊するか分からず、その時に備えた準備をせねばならない。また、核大国中国は、軍拡を進めており、とくに海軍の拡張には注意せねばならない。ロシアもまた核武装している。

 このような国際情勢を背景にすると、核による抑止は不可欠である。オバマ政権は核軍縮を進めており、核抑止については、戦略核兵器によるとして、通常兵器による抑止重視の方向である。4月6日には、NPR(米核体制見直し)レポートが発表され、
(1)核拡散と核テロリズムの防止、
(2)米国安全戦略における核兵器の役割減少、
(3)より低い核戦略レベルでの戦略抑止と安定性維持、
(4)地域抑止の強化及び同盟国やパートナー国への安心付与、
(5)安全、厳重、効果的な核兵器保有量の維持
  を掲げた。

 このようなアメリカの核戦略の見直しを前提としても、沖縄の持つ地政学的な重要性には大きな変化はない。朝鮮半島から遠からず、近からず、一朝有事の際に海兵隊が出動するには最適な地理的位置にある。

 海兵隊は、陸海空の三軍隊、水陸両用の機能を備えており、敵の背後にパラシュートで降下し、戦闘できる能力を備えている。鳩山首相も、アメリカ本土で、海兵隊の演習を視察してみるとよい。

日本の科学技術で軍事技術の発展に貢献

 空からの援護を受けながら敵地上陸し、与えられた使命を果たす。そのためには、陸海空の一体的運用が必要であるし、平坦の要素も不可欠である。したがって、軍事オペレーションを実行する側に立つと、沖縄県外への一部機能移転などは受け入れがたいということになる。

 軍事のことは、まず軍事的常識を前提として議論を展開しなければ、議論が意味を持たなくなる。そのうえで、軍事技術の発展が地政学的要素にどれくらい影響を与えるのかもまた視野に入れて、その分野における日本の科学技術の貢献も考えてよい。

 基地の町に住む住民の立場に立てば、騒音、事故など迷惑きわまりない。基地経済と言われるように、基地が落とすカネの要素があるにしても、その代償の大きさは否定できない。その代償は、日本国民全体で背負うべきものであり、沖縄振興策もそのように位置づけられている。

 軍事的知識を欠如した鳩山首相がもたらした混乱で、普天間基地移設問題は振り出しどころか、もっと後退してしまった。今後どのようにして解決策を見いだしていくのか、頭の痛い問題である。

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