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週刊現代 アメリカ

暴露本『炎と怒り』が描いたトランプ一家ケタ外れの「おバカっぷり」

事実が1割だったとしても、十分ヒドい

就任式当日に夫婦喧嘩

米国人ジャーナリストが執筆したトランプ大統領に関する暴露本『炎と怒り』が、米国で爆発的なベストセラーになっている。

1月5日、初版15万部でスタートした同書は、すでに100万部の大増刷を行った。とはいえ、日本語版が出版されるのはずいぶん先のことだ(*本記事が初出時。現在早川書房より発売中)。同書の読みどころを紹介していこう。

 

冒頭から明かされるのは、「トランプは大統領になるつもりはなかった」という衝撃の事実だ。

〈トランプは、選挙に負けたときの表向きの言い訳を用意していた。(不正により票が)「盗まれた」というのがそれだ〉(同書より、以下同)

2016年11月8日、開票日の夜、事態は急変する。

〈午後8時を過ぎ、トランプが本当に勝つかもしれないという予想外の流れが確認されたときのことを、(長男の)トランプ・ジュニアは「父はまるで幽霊でも見たかのような表情だった」と語っている。

(夫人の)メラニアは涙ぐんでいたが、喜びの涙ではなかった。1時間で、「当惑のトランプ」は、「とんでもない事態に愕然としているトランプ」へと変貌した〉

年が明け、1月20日の就任式を迎えたトランプは不機嫌だった。〈どんちゃん騒ぎを望んでいた〉のに、一流セレブたちの欠席が相次いだことに怒り、傷ついていた。

〈(ホワイトハウスの施設の)「空調もベッドもひどい」といらだったトランプは、朝から妻のメラニアと喧嘩を続けていた。

トランプが投げつける言葉は苛烈かつ威圧的だった。メラニアは泣き出さんばかりで、ニューヨークに帰ってしまいかねない様子だったのだ〉

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数週間もしないうちに、「大統領の執務」の本当の様子がトランプ周辺から伝わってきた。

〈自分の立場をわきまえず、行動を自制するつもりもない。早朝からツイッターをやりまくり、用意された演説原稿を読むことさえ拒否するのに、友人には自己憐憫の電話をかけ続けている〉

本書が「暴露本」と呼べるのは、以下のようなにわかには信じがたい話も、ふんだんに盛り込まれているからだ。

〈トランプは、「友人の妻を寝取るのが生きがいだ」と公言している。友人の妻を狙うとき、「あんたの旦那は、あんたが思っているような奴じゃない」と説得する〉

秘書を使ってその友人を呼ぶと、トランプはこう語りかけ、その模様を隠し録りするのだという。

「おい、お前はまだカミさんとセックスするのが好きか?どれくらいやってる?別の女ともっといいセックスやっただろ。教えろよ。3時になったらいい女たちがロスから来るから、寝室でやっちゃおう。約束するぜ」

そして、この会話の録音を、友人の妻に聞かせ、自分に振り向かせようとする。こんな三文小説ばりの「手」を使うそうだ。

2017年4月、ホワイトハウスのなかで転送を重ねられたメールがある。大統領補佐官で国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーンがトランプに関して綴ったメールが流出したのだ。

〈状況は想像以上に悪い。バカがピエロに囲まれている状態だ。トランプは1ページのメモさえ読まないし、政策に関する書類の要約も読まない。退屈しているから、海外の首相たちとの会合の途中でも中座する〉

そして、トランプの周囲の「ピエロ」をコーンはこう論評している。

〈(娘婿の)クシュナーは何も知らない「赤ちゃん」だし、バノンは頭がいいと思い込んでいる傲慢な野郎だ。トランプはひどい性格の塊というしかない。1年で生き残るのは彼の家族くらいだろう。……私は絶えずショックと恐怖の状態にいる〉

トランプを陰でバカ呼ばわりする側近は、コーンだけではない。マクマスター大統領補佐官は「間抜け」と呼び、親友のメディア王、ルパート・マードックに至っては「クソバカ野郎」だ。

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