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トランプを激怒させた暴露本に書かれた「決定的証言」その中身

これで王手がかかったかもしれない

トランプ大統領の「異常な反応」

昨年、米国では数々の「トランプ本」が出版されましたが、ドナルド・トランプ米大統領はさほど興味を示しませんでした。ところが1月5日、トランプ政権に関する暴露本炎と激怒("FIRE AND FURY: Inside the Trump White House")が出版されると、大統領は異常なほど敏感に反応しました。

トランプ政権に限らず、米国では政権の暴露本が数多く出版されています。しかし、トランプ大統領が見せたヒステリックな対応は、まさに「異例中の異例」と言わざるを得ません。

まず、暴露本の中で大統領とその家族を痛烈に批判した「元・最側近」スティーブ・バノン元首席戦略官兼大統領上級顧問を非難する声明を、大統領本人が出しました。

その中で、トランプ大統領はバノン氏を「仕事を失っただけでなく、正気も失った」と述べ、大統領選挙における彼の影響力について「スティーブは歴史的な勝利に、ほとんど貢献していない」と否定しました。さらに昨年12月12日、南部アラバマ州で行われた連邦上院補欠選挙における共和党の敗北は、バノン氏に「すべての責任がある」とまで主張したのです。

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トランプ大統領のバノン氏への攻撃はまだまだ続きます。「スティーブは、野党やメディアと戦争するフリをしている。彼はホワイトハウスに在職中、実際よりも自分をはるかに重要な人物だと思わせるために、メディアに誤った情報を漏洩した」と批判し、最後はバノン氏が「虚偽の本(フェイク・ブック)の出版を助けたのだ」と決めつけました。

さらにトランプ大統領は「スティーブとは、めったに1対1で議論をしたことがなかった」と強調し、「側近中の側近」とまで呼ばれたバノン氏を「だらしないスティーブ」「情報漏洩者」「権力拡大を狙っている政治的大ぼら吹き」と、こき下ろしたのです。そのうえで、顧問弁護士を通じて著者のマイケル・ウォルフ氏と出版社に暴露本の販売差し止めを請求しました。

なぜここまで、トランプ大統領はバノン氏に激怒したのでしょうか。

暴露本の内容を分析すると、本書にはトランプ大統領にとって「極めて不都合」なバノン氏の発言が書かれていることが明らかになりました。

 

全ては「長男のコンプレックス」から始まった

トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏、娘婿のジャレッド・クシュナー氏ポール・マナフォート選対会長(当時)の3人は、大統領選を5ヵ月後に控えた2016年6月9日、ニューヨークにそびえるトランプタワーでロシア人女性弁護士らと面会しました。その弁護士は、彼らに「対立候補のヒラリー・クリントン元国務長官が不利になるような情報提供をする」と約束したのです。

暴露本によれば、この面会で主導的な役割を果たしたのは、ジュニア氏でした。

当時クシュナー氏は、トランプ陣営の選挙顧問を務め、早くも絶大な力をふるっていました。本書の行間からは、ジュニア氏が自らの能力がクシュナー氏と比べて劣っていると考え、ある種のコンプレックスを抱いていたことを読み取れます。

ジュニア氏(右端)とクシュナー氏(左から2番目)(Photo by gettyimages)

ジュニア氏は、義弟のクシュナー氏に劣らぬ手柄をあげて、父親に認めてもらいたかったのです。こうした心理状態に置かれていたので、ジュニア氏はロシア人女性弁護士がもちかけた話に飛びついてしまったわけです。

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