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規制緩和・政策 週刊現代

水道は民営化すれば、本当に「おトク」になるのか

民営化と言ってもさまざまです

安くなる?高くなる?どっち?

国会で水道民営化の議論が加速している。

'17年3月には水道法の改正が閣議決定され、昨秋の冒頭解散まで継続審議となっていた。また'18年以降、公共施設の民間売却に関するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)法を改正し、よりスムーズな民営化を実現できるようにする。

麻生太郎副総理も民営化に「お墨付き」を与える発言を繰り返しているうえ、IMF(国際通貨基金)も「水道を民営化すれば水道料金が安くなる」と世界中に働きかけていて、日本に自由競争を促してくるのではとの見方もある。

日本では'07年に郵政民営化が実施されたが、10年以上経った現在でもその是非について問われることは多い。それでは水道民営化のメリットやデメリットはどれほどあるのだろうか。

まず、ひとくちに「民営化」といってもさまざまな形態があることを理解しておこう。

いちばん純然たる形ともいえる民営化は、「公有公営」の事業を「民有民営」にすることだ。一方、「公有民営」や「公設民営」もれっきとした民営化で、公有民営とは資本を公的部門が保有して特殊会社化することだ。また、公設民営とは施設所有権を公的部門が持ち、運営権のみを民間に委ねる形態のことで、コンセッションとよばれる。

ちなみにコンセッション方式が日本でも可能になったのは、'11年にPFI法が改正されてからだ。

 

改正PFI法で公共インフラとみなされているものは、水道だけでなく道路や港湾、空港に河川といったものも含まれる。また同法では、収益が費用を上回っているなどの理由により「民間事業者に行わせることが適切なもの」において、「低廉かつ良質な公共サービスが国民に対して提供される」ことが求められる。

簡単にいえば、公有公営よりも公設民営のほうが、国民にとって利益になるのであれば民営化されるというのが基本的な理念だ。逆にいえば、こうした条件が満たされていないにもかかわらず、民営化を行うことは許されないことになる。

国民の利益とはすなわち価格競争が進み、これまで以上に水道料金が安くなることだ。これだけを聞くと大きなメリットがあるように感じるかもしれないが、批判的な向きもある。経済力のある外資が参入し、日本のインフラを乗っ取り、結果的に日本に不利な運営をするかもしれないとの懸念によるものだ。

たしかにボリビアでは、IMF主導で大量の融資を受ける代わりに、水道事業を含めほとんどの公益事業が民営化され、これをアメリカの民間企業が買った結果、水道料金が上がってしまった。この事例を挙げて批判する人も多いが、南米でも最貧クラスの途上国を引き合いに出すのはいくらなんでも極端だ。実際、欧州ではいま5~6割以上の水道が民営化されている。

日本の場合、水道の民営化はゼロからのスタートなので、仮に民営化を図ったとしてもいきなり水道料金が安くなることはないかもしれない。ただ、まだ日本の水道事業には海外進出できるほどの競争力があり、日本でもまだ規模の利益を上げるほどの余地があるため、外資に乗っ取られる心配もない。

したがって、民営化を進めるメリットは大きいだろう。

『週刊現代』2018年1月27日号より

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