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「婚活」を焦るあまり人生を読み間違えた女の悲劇

育てられない母親たち【14】
石井 光太 プロフィール
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一番苦しい思いをするのは子供

今年で、萌が娘と別々に暮らす様になってから2年が経った。

萌は未だに娘を引き取ろうとしていない。距離を置いたことによって少しは娘を客観的に見られるようになったそうだが、うつ病の症状が思いのほか重く、引き取って育てられる自信がないのだそうだ。

萌は語る。

「今は娘を嫌いだという気持ちは薄れてきています。ただ、向き合うと、この子がいなかったら、私の人生はどうなっていたんだろうっていう考えはまだ浮かびますね。この子の父に会ってなかったら、もっと真っ当な道を歩めたんじゃないかって。そう考えた時、残りの人生を娘と二人で歩んでいく気持ちになれないんです。ちゃんと愛して育てられる自信がない」

萌は男性にだまされていたわけで、完全な被害者である。そして彼女がその男性との出会いによって望んでいた将来像を壊されたことは事実だ。

photo by iStock

同じような境遇の女性は少なからずいるだろう。中には、過去を終わったこととして割り切り、子供に愛情を注いで母子家庭を築いていこうとする人もいるはずだ。だが彼女はそのように考えることができず、どうしても娘に対して恨みのような感情を抱いてしまう。それが彼女の精神の均衡を崩し、育児を困難なものにさせてしまっているのだ。

このような女性をどう支えるかは、非常に難しい問題だ。

 

結局は、萌のような女性が「男を見る目がなかった」「運が悪かった」ということで片付けられてしまう。その結果、一番の犠牲となるのは、父がおらず、母からも愛されない子供である。

巷では、不倫や男女の騙し合いが面白おかしく語られることがある。その際、なかなか彼らの間の子供について光が当てられることはない。子供のプライバシーに関わることだから話題にできないのだ。だが、実は一番苦しい思いをするのは、子供だということをしっかりと考えなければならないだろう。

「遼太君、君はあの夜、血だらけになった体で闇の中を這い、どこへ向かおうとしていたのだろうか」
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