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消費税アップを前に、今年マンション市場に起きる「決定的な変化」

「駆け込み需要」の夢やいかに…

消費増税がマンション価格に「効いて」くる

2018(平成30)年が始まった。どうやら今年はいろいろな意味で、住宅を取り巻く環境が大きく変わる年になりそうだ。

最大の要因は、19年10月に迫った消費税率の引き上げである。安倍内閣はこれまで二度にわたって消費税率アップを見送ってきた。ここ数年の景気上昇により、税収は民主党政権の時代よりも増加したものの、財政は相変わらず大量の赤字国債を発行せざるを得ない「火の車」状態。さすがに今回は税率アップを先送りできないだろうし、してはならない。

そこで思い出されるのは前回、2014年4月に消費税率が5%から8%へと大幅に引き上げられたときの状況だ。

今回は8%から10%へのアップなので、引き上げ幅は前回を下回るが、消費者心理を考えたとき、税率10%というのは相当のインパクトがありそうだ。買い物をする際、8%を瞬時に上乗せして税込み価格を算出できる人はそう多くないが、10%であれば簡単に計算できてしまうので、その分重税を実感する機会も増えることになる。

住宅の取得にあたって、土地には消費税がかからないものの、建物には消費税がかかってくる。理由は明快だ。土地は「消費する」ものではないからである。いっぽう、建物は会計処理上も減価償却が認められているように、摩耗・劣化してやがてはなくなるもの、つまり消費財として扱われる。

そして、住宅のなかでもとりわけ建物代の割合が高いのがマンションだ。一般的に、マンションの販売価格に占める土地対建物の比率は3:7程度だ。これが都心のタワーマンションだと、建物代の比率がさらに高まって、2:8から1:9ほどになる。つまり、税率アップはマンションの販売価格にストレートに「効いて」くることになるのだ。

 

都市部にマンションを建てるのが困難に

前回の税率アップに際しては特例として、新築マンション購入の場合、前年(2013年)9月末までに売買契約を締結すれば、2014年4月の税率アップ時点で建物が完成、引き渡しされていなくても、旧税率の5%が適用された。

そのため、2013年はいわゆる「駆け込み需要」が集中し、マンション販売は絶好調だった。モデルルームには大量の客が押し寄せ、ちょっとした社会現象となった。実際、2013年のマンション供給戸数は5万6478戸と前年を23.8%も上回ることとなった。

同じ考え方に基づき、2019年4月までに売買契約を締結したものについては旧税率が適用されることが予想されるため、マンションデベロッパー業界では「夢よもう一度」とばかりに供給を増やす動きが顕著になっている

マンション契約と部屋の鍵photo by iStock

しかし、どうやら今回については、彼らの思惑通りにはならない可能性が高い。

都心居住の志向が強まるなか、新築マンションはもはや都心部でないとなかなか売れない時代に入ってきている。その都心部のマンションですらも、「(居住用という)実需」だけで売れているわけではなく、相続税対策などの節税ニーズや、外国人投資家による投資ニーズに支えられているのが実態だ。そうした節税効果や短期間での売却益を求める人たちにとって、消費増税は即座に購入動機につながるものではない。

またここ数年、マンションの用地担当者は都心での用地取得に苦戦している。その理由は二つある。

まず、外国人観光客の増加を受けたホテル開発ラッシュのため、マンション建設に適当な土地が見つかっても、ホテルとの競合に敗れて用地を取得できないことが一つ。さらに、建設費の高騰により、マンション販売価格が一般の消費者にはすでに手の届かない範囲にまで値上がりしてしまい、都心での商品企画がそもそも困難な状況になっていることが二つめの理由だ。