初の公式訪問で中国を訪れたマクロン大統領〔PHOTO〕gettyimages
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習近平はいま、2021年に「世界の覇者」となることを目論んでいる

2018年の中国外交3つのキーワード
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2018年の安倍外交が始動した。安倍晋三首相は12日から17日まで、エストニア、ラトビア、リトアニア、ブルガリア、セルビア、ルーマニアの6ヵ国を歴訪中で、「どの国も日本の首相が訪問するのは初めて」と自負している。

それでは、2018年の中国外交は何を目指し、どういった展開になっていくのか――。

正月に北京を訪問した私は、「大国外交と一帯一路」「平衡と安定」「3年後の覇権」が、3大キーワードになってくると見ている。以下、順に見ていこう。

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1)大国外交と一帯一路

昨年10月に第19回中国共産党大会を成功させ、翌11月にドナルド・トランプ大統領の訪中を成功させたことから、習近平政権は、内政・外交ともに、かつてない自信を強めている。

まずは昨年の習近平外交から振り返ってみよう。

昨年、習近平主席は、次のような外交実績を上げたと総括している。

・外国首脳と延べ89回首脳会談を行い、18回電話会談し、外交に関する15回の重要講演を行った。
・1月17日、スイスで行われたダボス会議の開幕式に出席し、「責任を共に負い、世界の発展を促していく」と題した基調講演を行った。
・4月6日、7日、米フロリダ州で、トランプ大統領との2日間にわたる初会談を成功させた。
・5月14日、15日、北京に100ヵ国以上の首脳を集めて、「一帯一路国際提携サミットフォーラム」を開催した。
・6月9日、カザフスタンで行われた上海協力機構(SCO)第17回首脳会議を主導し、合わせてアスタナ万博の開幕式に出席した。
・7月3日、4日、ロシアを公式訪問。過去100年で最良の中ロ関係を維持した。プーチン大統領との中ロ首脳会談は、2013年以降、毎年5回以上行っており、昨年も5回を数えた。
・7月4日から6日まで、ドイツを公式訪問。メルケル政権及びEUとの極めて良好な関係を維持した。
・7月7日、8日、ハンブルグG20(主要国・地域)サミットで、アメリカとEUを前に圧倒的存在感を示した。
・9月3日から5日、アモイでBRICS(新興5ヵ国)首脳会談を主催し、冷え込んでいたインドとの関係も修復した。
・11月8日から10日、トランプ大統領の北京訪問を成功させた。
・11月10日、11日、ベトナムAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で、「アジアの盟主」としての存在感を示した。

こうしたことから、前回2012年の第18回共産党大会で提起された「3つの自信」(中国の特色ある社会主義の路線・理論・制度に対する自信)を、一層強めている。そして2018年からは、「習近平新時代の大国外交」を前面に推し進めていこうとしている。

「習近平新時代の大国外交」のスローガンになっているのが、「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)である。これは、2013年秋に習近平主席が提起したもので、中国とヨーロッパを陸路と海路で結ぶという壮大な構想だ。具体的には、貿易・インフラ・資金・政策・人文の5分野で、中国が沿線約70ヵ国との協力関係を強めていくというものである。

 

「一帯一路」は、日本では、単に中国の経済政策と捉えている人も多いようだが、決してそうではない。アメリカを除くユーラシア大陸全体を、中国の影響下に置いていくという、多分に政治的な外交戦略である。国家戦略という観点から、中国国務院(中央官庁)では、財政部ではなく国家発展改革委員会に予算がついている。

「一帯一路」は、次のような多くのメリットをもたらすと、中国は考えている。

・ユーラシア大陸における中国の影響力が拡大する。
・ユーラシア大陸に中国を中心とした安定成長をもたらす。
・国境を越えて周辺国に進出することで、中国の破綻しつつある地方経済(地方企業)が活性化できる。
・供給側構造性改革(習近平政権の経済改革)の5項目のうち改革事項のトップである過剰生産の解消に関して、周辺諸国に捌ける。
・中国を頂点とした経済の「雁行システム」がユーラシア大陸に構築できる。
・インド洋を始めとする中国の軍事進出にも活用できる。
・AIIB(アジアインフラ投資銀行)と一体化させられる。
・中国の悲願である人民元の国際化につながる。

安倍政権も、今年からは「一帯一路」に、是々非々で協力していくとしている。これは主に、日本企業が中国企業と第三国の開発における協力を深めていくことを念頭に置いていると見られる。実際、そのことは日本経済の新たな発展のために重要だとは思うが、中国は「習近平共産党政権の勢力拡大」という大戦略のもとに歩を進めていることも、肝に銘じておくべきだろう。

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