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突如現れた「北朝鮮は悪くない」論に耳を傾けてはいけない

さらなる危機を歓迎する気か
長谷川 幸洋 プロフィール
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85年ごろには、米国で北朝鮮の核開発に対する懸念が強まった。韓国政府に対する米国のブリーフが韓国マスコミにリークされ「北朝鮮が90年代半ばには原爆を製造できるようになる可能性がある」という記事が世界中に流れた。

北朝鮮は当初、報道を否定したが、NPTの査察受け入れ圧力が強まると「韓国に配備された米国の核の脅威がある限り、査察は認めない」と反論した。同書はこの反論について「有無を言わさぬほど論理的で、しかも訴えるものがあった」と率直に評価している。

その後、弾道ミサイルなど核の運搬手段が進歩した結果、米国内でも「韓国を守るのに韓国内に核兵器を置く必要はない」という議論が起きる。米国は結局、北朝鮮の主張にも配慮した形で91年12月、韓国からすべての核を撤去した。

だが、北朝鮮は独自の核開発を続け、2003年にNPTを脱退し、現在に至っている。

以上を振り返っただけでも、北朝鮮が核保有を目指したのは、朝鮮戦争で戦った米国に対抗するためだったことが分かる。それが「自分たちは米国の核の脅威にさらされている。だから査察は認めない(=開発を続ける)」という理屈なのだ。朝鮮戦争はいま休戦中であるにすぎない。

 

ここで止めねば、さらなる危機を招く

そこで本題である。ではなぜ、北の核を認められないか。

第一の理由は「彼らはテロリスト国家である」。日本人拉致問題は言うに及ばず、彼らは実際に何度もテロを実行してきた。テロリスト国家には「核を使えば核で報復する」という脅しが効かない。

中ロはこの「脅しの原理」(相互確証破壊=MAD)を理解しているから、核による共存が可能になる。だが、何をしでかすか分からず、自国民の生命、人権などなんとも思わない独裁者には、反撃の脅しで核使用を思いとどまらせる保証がないのだ。

第二の理由は、彼らがテロリスト国家であるからこそ、核保有を認めてしまえば、別のテロリストに核が流出する懸念がある。そして第三に、北が核を持てば、韓国や日本も核を持たざるを得なくなる可能性が高い。

韓国や日本が自前の核を持たなくても、米国が再び韓国と日本に核兵器を配備せざるを得なくなるかもしれない。いくら運搬手段が発達しているとはいえ、米国がグアムから反撃するよりソウルや横田、佐世保から反撃する体制を整えたほうが抑止効果は高いだろう。

つまり、北の核を容認できない根本的な理由は世界と東アジア、とりわけ日本の安全と平和が不安定になるからだ。「盗人にも三分の理」ではないが、北朝鮮の核開発にもそれなりの理由はある。それを理解したうえで、なぜダメかを指摘しなければ説得力はない。

左派系ジャーナリストの「煽り論」は安倍政権批判の道具にすぎない。彼らこそが「安倍政権こそが悪玉」と煽っているのだ。そうした論者の言い分にいくら耳を傾けても、頭が濁るだけだ。世界と日本の平和と安全を考える手助けにはならない。時間のムダである。

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