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突如現れた「北朝鮮は悪くない」論に耳を傾けてはいけない

さらなる危機を歓迎する気か
長谷川 幸洋 プロフィール
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そもそも、彼らは「日本を脅かす脅威」など関心もなければ、考えるつもりもない。先のコラムで書いたように、彼らは「政権ケチつけ」が商売である。北朝鮮が何をしようが、とにかく安倍政権を批判する。それが仕事と心得ているのである。

左派系ジャーナリストは「安倍政権による危機煽り論」を展開することによって事実上、北朝鮮を擁護する結果になっている。

だが「煽り論」のようなお粗末な話ではなく、ここでは思考停止の左派系ジャーナリストに代わって、もう少しマシな「北朝鮮擁護論」を展開してみよう(笑)。というのは、相手の言い分をきちんと理解しなければ、真の問題である「なぜ北の核とミサイルを容認できないか」が分からなくなってしまうからだ。

 

あえて振り返る「北の核開発史」

まず、北朝鮮はなぜ核とミサイル開発を進めてきたか。朝鮮半島問題の専門家でジャーナリストでもあった故ドン・オーバードーファーとロバート・カーリンの名著『二つのコリア』(共同通信社、第3版、2015年、https://www.amazon.co.jp/dp/4764106825?_encoding=UTF8&isInIframe=0&n=465392&ref_=dp_proddesc_0&s=books&showDetailProductDesc=1#product-description_feature_div)によれば、話は1970年代に遡る。

1953年に休戦した朝鮮戦争の後、北朝鮮はソ連に少人数の科学者を送り込んで核に関する研究を始めた。米国の専門家は「北朝鮮が原子炉用の敷地造成を始めたのは79年ごろ」とみている。米国の偵察衛星が原子炉施設を初めて写真撮影したのは82年4月だ。

なぜ北朝鮮が核開発を進めたかについて、同書は「はっきりした情報がないため、憶測の域を出ない」としながらも、朝鮮戦争でマッカーサー将軍が原爆使用を検討した経緯に触れている。当時のアイゼンハワー大統領も原爆使用をほのめかしていた。

米国に対抗するには「核兵器が必要」と認識したのは、それがきっかけだったかもしれない。現在では「米国の脅威から金体制を守るには核に頼るしかない。核兵器は通常兵器に比べて安上がりでもある」というのが、核保有を目指す理由の通説になっている。

北朝鮮は「最初から全くの独立独歩」(同書)で核開発を進めた。その後、北朝鮮はソ連から原子炉を入手する条件をクリアするために85年12月、核兵器不拡散条約(NPT)に加盟した。だがソ連との関係が悪化し、この輸入計画は失敗に終わってしまう。

NPTは米国、ロシア、フランス、英国、中国の5カ国だけを「核兵器国」と認めて誠実な核軍縮交渉を義務付けるとともに、その他の「非核兵器国」には核兵器の製造、取得を禁止し、国際原子力機関(IAEA)の査察を義務付けた条約だ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/npt/gaiyo.html)。

一言で言えば「5大国は核を保有してもいいが、その他の国はダメよ」という条約である。

「不平等じゃないか」と言わればそれまでだが、これが第二次世界大戦を踏まえた国際政治の現実なのだ。この5大国は国連安全保障理事会の常任理事国でもある。核も国際秩序形成も5大国が既得権として握っている。

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