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新年早々ヘリが2回も不時着…米軍の驚くべき「戦力ダウン」

これは本土でも起こりうる問題だ
半田 滋 プロフィール
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この予算不足は2013年3月、当時のオバマ米大統領が財政赤字解消のため国防費の強制削減に踏み切ったことによる。

米国の国防費は世界トップの年約60億ドル(約72兆円)を誇る。第2位の中国の3倍近いとはいえ、この金額を前提に兵器を購入し、部隊を運用しているため、約1割もの強制削減は軍に大きなダメージを与えた。

日本でも影響はすぐ現れた。同年6月、在日米陸軍司令部は筆者の取材に「乗用車の利用をやめ、司令官も兵士と同じバスで移動している。工夫して予算を50%減らす」と回答。米軍の準機関紙「星条旗」は、横田基地の輸送機部隊が飛行時間を25%減らし、年間予算を60%削減すると伝えた。

13年から始まった国防費の強制削減は、昨年1月のトランプ大統領の誕生によって終局した。とはいえ、5年間にわたる予算不足はボディブローとなり、今になって現れているのではないだろうか。

 

「老朽化と塩害」二重のダメージ

事故が多発しているのは、北朝鮮が進める核・ミサイル開発に対抗するため、むしろ訓練時間が増え、整備兵などに過重な負担がかかっているからではないか、と考える向きもあるだろう。

訓練が連続する中での事故は、米国が2003年に始めたイラク戦争の最中に沖縄で起きている。2004年8月13日、普天間基地所属のCH53ヘリが訓練中にコントロールを失い、沖縄国際大学に墜落、炎上した。

事故原因について、日米合同の事故分科委員会は「回転翼の後部ローターを接ぐボルトに部品を装着していなかった整備ミスが原因」との調査報告書をまとめた。ヘリのイラク派遣を控え、長時間労働を強いられた整備兵によるミスが原因だった。

だが、現在の訓練状況は必ずしも過重なものとは言えない。

普天間基地を抱える宜野湾市基地渉外課は「市内8カ所で航空機騒音の測定をしています。一番うるさい基地南側で観測した騒音回数は15年が12487回、16年が11105回、17年が10947回で、むしろ騒音回数は減っている」といい、「事故は訓練が増えたから」との見方を疑問視する。

事故頻発に関連して地元紙の「沖縄タイムス」が8日、興味深い記事を掲載した。

「米海兵隊当局は沖縄やハワイの過酷な自然環境が米軍機の腐食を加速させているとし、機体保護を目的に米本国の基地などと航空機の交換(ローテーション)計画を策定している」というのだ。

海風にさらされることによる塩害など、沖縄の自然環境が機体に影響を与えていることを、米海兵隊が正式に認めたのである。

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