経済・財政 AI

AIを使って働かないでメシを食う、は可能か。「生産性」から考えた

すべての時間を「消費」に使う未来とは
加谷 珪一 プロフィール

AI経済の仕組み

この点において日本経済は今、非常に厳しい状況にある。国内は未曾有の人手不足となっており、この傾向は当分の間、継続する可能性が高い。人手不足が激しくなると、一部の企業は生産力を維持できなくなり、製品やサービスの販売を縮小してしまう。

そうなってくると、企業の売上高や利益の減少、さらには労働者の報酬低下を招き、最終的には消費を低迷させる可能性がある(供給制限による経済の低迷)。

 

日本の失業率は低下の一途を辿っているが、これは必ずしも景気がよいからではない。需要が同じでも人手が足りなければ失業率は上昇するものであり、やがて到来する人手不足による経済シュリンクの前兆である可能性も否定できない。

こうした状況を手っ取り早く解消する方法は移民受け入れだが、日本社会が移民を受け入れる可能性は低く、そうなってくると、従来の経済を維持するためには、AIやロボットによる自動化が必須という結論にならざるを得ない。

もし本格的にAIやロボットを活用できれば経済にとって極めて大きな効果がある。

経済学の分野では、ひとつの経済圏における生産力がどう推移するのかを示した生産関数というツールがよく使われる。生産関数にはいろいろなパターンがあるが、もっとも多く使われているのはコブ・ダグラス型関数と呼ばれるものである。

この式で、Kは資本(設備投資)、Lは労働量(従業員の労働)、αは資本分配率を示している。資本分配率と労働分配率は対の関係になっているので(1―α)は労働分配率を示している。Aは全要素生産性と呼ばれ、イノベーションの度合いを示しているが、とりあえずここではAとαは一定と考えればよい。

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