Photo by iStock
経済・財政 AI

AIを使って働かないでメシを食う、は可能か。「生産性」から考えた

すべての時間を「消費」に使う未来とは
このエントリーをはてなブックマークに追加

AI(人工知能)によって多くの仕事が奪われるという話は、社会の共通認識となりつつある。日本人はあまり変化を望まないので、AIによる仕事の代替はネガティブな話題として受け止めているかもしれない。だが一方で、AIの普及は人間を単純労働から解放する救世主との見方もある。

特に日本の場合、AIによって仕事が奪われるという図式だけで物事を見ていると問題の本質を見誤る。日本社会は未曾有の人手不足となっており、AIに仕事を奪われるどころか、積極的にAIに仕事を任せないと従来の経済を維持できない可能性すらある。

そうであるならば、技術革新をチャンスと捉え、より積極的にAIを活用することで人手不足を解消する方向にベクトルを向けた方が得策だろう。AIやロボットを徹底活用すれば、多くの単純労働から解放される。余った時間を新しい製品やサービスの創造に振り向けることができれば、将来についてそれほど悲観する必要はないはずだ。

 

経済の原理から考えると…

一部の識者は、AIやロボットが本格的に社会に普及すれば、多くの人が労働から解放されるとポジティブに解釈している。要するに働かなくてもメシが食えるようになるという話だが、それはどのようなメカニズムなのだろうか。

当たり前の話だが、経済は需要と供給で成り立っている。モノやサービスを買う人がいるので、それを提供する人が必要となる。買う側と売る側は基本的に同じ人間なので、ほとんどの人が需要側と供給側を兼ねている。経済がひとつの地域で閉じていれば、経済規模は人口に比例することになる。人口が増えれば経済規模が大きくなり、人口が減ると経済規模も小さくなるという話だ。

Photo by iStock

だが需要が国内だけにあるとは限らない。外国が日本のモノやサービスを欲しがった場合、それは輸出という形で外国に提供される。そうなってくると、供給側は日本人が消費する以上のモノやサービスを生産できることになり、人口が少なくてもより大きな経済規模を実現できる。

だが経済を拡大する方法は輸出だけではない。輸出がなくても、日本人1人あたりの需要が拡大すれば、消費や投資が増え、経済規模が拡大する。輸出に頼らず、国民の需要拡大で経済成長を実現することを一般的には内需拡大と呼ぶ。

純粋な経済学の世界では、需要と供給のどちらが先に来るのかというのは一大論争だが、多くの人にとってこの話はあまり重要ではない。現実の経済運営で求められているのは、需要と供給をバランス良く拡大させることである。

しかしながら、輸出主導であれ、内需拡大であれ、いずれの場合においても超えなければならないカベがある。それは供給力の維持である。たとえ需要があっても、それを満たす供給(生産)を維持できなければ経済を拡大させることはできない。

記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク