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長者番付1位になったサラリーマン が明かす「がん闘病と壮絶人生」

「あの人は今」政治・経済編

がんで声を失った

平成16(2004)年は、高額納税者番付が公表された最後の年。そこで堂々全国1位に輝いたのは、サラリーマンだった。

年間納税額が約37億円、年収は約100億円と推定された清原達郎氏(58歳・タワー投資顧問運用部長)は、昨年、咽頭がん手術を受けたという。声が出せない清原氏が、筆談で取材に答えた。

「タワー投資顧問の旗艦ファンドがスタートしたのは'98年6月のこと。バブル崩壊の余波はまだ生々しく、破綻した北海道拓殖銀行からニトリの株を買い取らせていただいたのがこのファンドの最初のトレードでした。

'00年のITバブル時は、IT企業の空売りで大損害を受けたものの何とか切り抜け、小型株相場に乗っかって、'05年の10月までは運用は順調、資金も大量に流入してきました。長者番付に名前が載ったのはその頃です」

 

10億円に満たなかった運用資産は、ピーク時に3000億円を超えたが、自分たちの運用能力をはるかに超えていたという。

「調子に乗りすぎていたんです。その後、'06年1月のライブドア強制捜査に端を発する『ホリエモン・ショック』で小型株が暴落し、そこにリーマン・ショックが追い打ちをかけます。このファンドが大株主になっていた会社が、いくつも倒産しました。

'09年2月にボトムを打つまで、基準価額の下落率はピークから72%にも達しました。

パフォーマンスが悪化し始めると、変動の大きい当社のファンドに対し『毎月安定的に儲けます』というAIJ投資顧問のようなファンドが現れ、我々の顧客を次から次へと奪っていったのです」

AIJは'12年に運用資金の大半が消失していることが判明し、社長らは詐欺容疑で逮捕された。清原氏が続ける。

「そんな状況でも残ってくれた顧客もいました。おかげでファンドは破綻を回避することができ、ボトムから現在までで11倍強、当初からだと58倍強のパフォーマンスを達成できました」

'17年、咽頭がんを患い手術を受けた清原氏は、声帯を切って声を失った。だが、それにもめげず、「せっかくここまで来たのだから100倍のパフォーマンスを目指して頑張ろうと、これまで以上に精力的に運用に取り組んでいます」という清原氏に、今後の相場の見通しを訊ねると――。

「『日本株の相場は終わりつつあり、長期的な、半永久的な弱気相場入りする可能性が高い』と言わざるを得ません。アベノミクスは大成功でしたがあまりにもうまく行き過ぎたのです。

どうせ相場が終わるならもう一回だけバブルになってから終わってくれと祈るばかりです」