photo by iStock
政治政策 経済・財政

リーマンショック前と酷似する日本経済の問題はコレだ

内需主導の自律的な景気回復が始まるか

2018年の日本経済は、「朝鮮半島での有事」というリスク要因はあるものの、安倍政権下での景気回復が続く見込みだ。

そうなると景気回復の期間は73か月となり(前回の景気の谷は2012年11月)、低成長ながらも戦後最長だった2002年1月から08年2月までの景気回復期と並ぶ長さになる。

しかし長い景気回復にも係らず、現下の景気回復は2000年代同様の重大な弱点を孕んでいる。そのため、再び世界景気の回復が頓挫すれば大きな後退を余儀なくされよう。そうした脆弱性とその原因についてご説明しよう。

 

3つの期間に分かれる現下の景気回復局面

まず、過去5年間の景気回復の道のりは一様ではなく、3つの期間に分けて見るのが妥当だ。それを理解するために、実質GDP成長率とそれを構成する各項目の寄与度に分けた図1をご覧頂きたい(全て年率%で記載、各項目の寄与度を合計するとGDP成長率になる)。

第1期は2013年1月から14年3月までのアベノミクス・ジャンプ・スタート期である。政策の「レジーム・チェンジ」に金融・資本市場の参加者が反応し、急激な円高修正と株価上昇が起こり、実質GDP成長率は3.1%と高くなった。

項目別寄与度を見ると、民間最終消費がプラス2.3%、民間企業設備投資がプラス1.1%で民間内需主導の良い形となっている。

株価急上昇によるプラスの資産効果(資産価格の上昇で消費が増える効果)、円安による製造業の利益回復と設備投資の上方修正、消費税率引き上げ前の駆け込み需要などが働いたが、ミニ不況だった2012年からの反動増という側面もあった。

第2期は2014年4月から15年12月までの景気足踏み期間であり、14年4月の消費税率引上げで消費は反動減となった(寄与度-1.3%)。消費の落ち込みは前年同期比で見ると15年3月まで続いた。

これに加え、中国の経済成長が目立って鈍化し、国際資源価格の急落でロシアやブラジルなど資源依存度の高い大型新興国もマイナス成長となった。

海外需要の縮小を感じた日本企業は設備投資の見送りなどに動き、実質GDP成長率は平均0.1%のマイナスに転じた。

純輸出(輸出-輸入)の寄与度が0.6%とプラスになっているが、これは14年4~6月期の純輸出寄与度が輸入減で4.1%と突出したためであり、これを除くと純輸出寄与度はプラス0.1%に過ぎない。

2000年代の景気回復と酷似のパターン

第3期は2016年1月から現在に至るまでの期間であり、実質GDP成長率は1.7%に回復した。寄与度では民間最終消費プラス0.5%、民間企業設備投資プラス0.4%、純輸出プラス0.9となっている。

筆者はこの第3期の平均成長率が概ね2018年も続くと見ているが、特に注目すべき点が2点ある。

第1に、海外景気の回復を受けて純輸出の寄与度が、プラス0.9%と高まっている。第2に雇用の増加で実質雇用者報酬(勤労者の実質総所得)の伸びがプラス2.3%と1期目や2期目と比べてずっと高くなっているにもかかわらず、民間最終消費の伸びの寄与度はプラス0.5%(年率伸び率はプラス0.9%)と穏かなものにとどまっている。 

実は、この第3期の景気回復パターンは、2002年から07年の景気回復期のパターンと酷似している。

図1に併記した2000年代の回復期と比べると、双方の実質GDP成長率はプラス1.7~1.6%であり、主要項目の寄与度を見ると民間最終消費はプラス0.5~0.6%、民間企業設備投資は0.4%、純輸出はプラス0.9~0.8%である。

まるでこれは何かの啓示ではないかと思いたくなるほど酷似しているではないか。