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小泉進次郎が今年から新聞を読むのをやめた理由

テレビが報じない「36歳のメディア論」
常井 健一 プロフィール

「時間の使い方」を変える

――この年末年始はテレビを観ましたか。

進:今年は紅白もほとんど見なかったね。本当にテレビは見なくなりました。バラエティー番組の中でも、おにぃ(小泉孝太郎)とムロ(ツヨシ)さんが出ているものは、見るかな。ムロさんは本当に下積みを頑張っていた人ですから、本当に嬉しいですよ。今ではテレビに出てきても「誰ですか?」とならなくなったんですから。

実はね、新聞10紙を読むの、止めたんですよ。「時間の使い方」を変えようと思って。新聞を読み終わった時、あまりにも残るものが少ないと気づきましたね。だったら、塩野七生さんの本を読んだ方が、時間の使い方としてよっぽど学びがある。

なんのために時間を使うべきか。使わないべきか。本当に考えている。なにをやるべきか。なにをやらざるべきか。1時間があったら、何をできるんだろうといつも考えています。そうすると、自分の行動原理が変わります。

1時間があったら習近平とプーチンは何をやるんだろうな、アレクサンダーだったら1時間あったら何をやったんだろうか、ペリクレスだったら何を考えていたんだろうな……というふうに。バカみたいでしょ、「何、言ってんだ。この人」と思うでしょ(笑)。でも、本当にそんなことを考えるんですよ。

今ここで脱皮する努力をしないと行き詰まるぞ、という思いがあるので、自分の身の処し方、時間の使い方を意識して変化をつけていく。イチロー選手は毎年バッティングフォームを変えるんですよ。ヒットを200本も打っていたって、調子の良い時に変える。それは、その時に変えないと、次の年は同じように200本が打てないから。自分にとっては「今がその時だ!」と思っています。

うまくは言えないけど、自分のなにかを変えなければいけないですね。脱皮には時間を要する、今年だけで脱皮できるんじゃなくて、時間はかかるけどそのスタートをしないと、その次の準備ができないですからね。いろいろ変えようと思っています。

だけど、運動は健康のためにやるべき。だから、今年も変わらず、こうやって子どもたちとサッカーをやりに来ている。

――毎年、子どもたちを相手に互角に走り回っている。私とそんなに歳が違わないのに、体力ありますね。日頃から鍛えているんですか。

進:去年の選挙は常井さんもずっと密着で来ていたからわかると思うけど、鍛えていないとこの世界では生きていけない。本当に乗り越えられない。人前で演説するって、自分が元気じゃないとできませんから。元気じゃない人から元気はもらえないでしょ。一瞬のひらめきだって、元気じゃないと、その景色にその時々に合わせた言葉というのは降りてこないんですよ。そのために体力というのは、根本的に大事ですね。

常井さんも知っていると思うけど、選挙ってきついですよ。選挙が好きだという人はどこにもいないですよ。しかも、ボクの場合、選挙中には自分の選挙区にもいられないんですから。これが当たり前だとは決して思わないですよ。それでも、15万もの人が「小泉進次郎」と書いてくれるってスゴイことですよ。

だから、いつも「ありがとうございます」と思います。感謝です。これからも横須賀、三浦からは小泉進次郎を国会に送り届けることが有益だ、役に立つ、使い倒し甲斐がある政治家だと思われたいですね。

政治家とは「使うべきもの」です。政治家って叩かれるものだけど、叩かれるのは構わない。常に批判の対象であるべきだと思うけど、使う前に使い物にならないように叩くのは、いったい誰のためになるんだろうかと思いますよ。せっかくなら、使ったらいいのに……。

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「正論」のマシンガントークは、20分ほど続いた。その間、サッカー少年団のママたちから振舞われたアツアツの豚汁を平らげた。最後はひょっこりやってきた小学生に促されるまま、進次郎はグラウンドに戻っていった。

全国紙やテレビ、週刊誌の政治報道をオワコンとみなし、情報源を媒体のブランドより個人の署名で選別、ニュースや新書より古典、あるいは当事者の声を聞くことに時間を費やす。意識高い系ならではの「知の技法」だ。

かと思えば、朝日新聞、日本経済新聞、文藝春秋、東洋経済オンラインという全国紙、経済紙、出版、ネットニュースの各トップブランドで「ポートフォリオ」を組み、編集部からのラブコールを逆手に取る形で頻繁に登場することで、権力者の矛盾を突く報道機関を自由自在な「PR」の道具としてしたたかに駆使していく──。

2017年から顕著になってきた小泉進次郎の「メディア論」は、果たして日本のデモクラシーにとって吉と出るのか、凶と出るのか。言葉巧みに人を取り込む術に長けた彼の言いなりにもならず、批評的距離を保てる「国民的メディア」が存在しなければ、それはチェックできない。無論、新聞・テレビの政治部記者には、その役割は期待できそうにない。

(敬称略)

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