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小泉進次郎が今年から新聞を読むのをやめた理由

テレビが報じない「36歳のメディア論」
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毎年の恒例行事で驚きの発言

小泉進次郎(36)の仕事始めは、選挙区内にある少年サッカーチームの「初蹴り」と決まっている。今年も1月3日正午過ぎに、ライトブルーのウインドブレーカー姿でグラウンドに現れた。

「あけましておめでとう!」

駆け寄ってくる少年たちとハイタッチを繰り返す。迷わずピッチに入り、ボールを追いかけ始める。元高校球児、政治家になる9年前まではサーファーでもあったとはいえ、会議ばかりが続く永田町での運動不足を感じさせないほどの身のこなしで巧妙にボールを操る。これが、初当選から変えていない毎年恒例の「儀式」だ。

現場には正月三が日から働くのを厭わない物好きな記者だけが顔を出し、進次郎がフランクに立ち話するのも恒例行事だ。普段から「場の空気」を読もうとしない私のような取材者に対しても、一年で最もリラックスした表情で雑談に応じる場面でもある。

「昨日(1月2日)は、おにぃ(小泉孝太郎)とムロ(ツヨシ)さんと一緒でしたよ。何回一緒に正月を過ごしたかわからないくらい、ムロさんは家族みたいなものですから」

 

そんなワイドショー向けのサービストークがある以外は、話題はもっぱら本の話になる。進次郎は、知る人ぞ知る政界屈指の読書家だ。昨年の年末年始は『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社)だったが、2018年は新刊『ギリシャ人の物語・第三巻』(塩野七生著、新潮社)を読破したという。

「アレクサンダーを描いた本。サイコーです。サイコーです」

そう興奮気味に語った進次郎は、月刊誌「文藝春秋」を毎月購読しており、なかでも塩野が連載する巻頭言「日本人へ」をこよなく愛している。その二人の対談が昨年末、ついに実現したようだが、その中身は同誌2月号を読んでもらえばいいとして、「塩野さんに会ったのをきっかけに、時間の使い方を変えました」と言いながらこんなことをつぶやいた。

「最近は新聞も、前ほど読まなくなったんですよね」

進次郎といえば、全国紙、スポーツ紙、業界紙など新聞10紙を読んでいることをこれまで誇らしげに語ってきた。中学時代に新聞配達のバイトをやって以来の「新聞マニア」でもある。

それが……。

「『どこどこ新聞』だから読むということは、もうないですね。署名を見て、この人の記事だったらお金出しても読みたいと思うことはあるけど。そんな中で、塩野さんの本はハードカバーで、一冊3000円なんですよ。読み終わった時、もっと払いたいと思いましたね。これが本当の価値ある活字文化だと思いましたよ。軽減税率がないと売れないなんて、関係ないね」

「育ての親」を挑発

昨年の衆院選あたりから、進次郎は「軽減税率廃止論」を声高に叫んでいる。(参考・http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53112)。「これが本当の価値ある活字文化だ」という一言は、「活字文化の保護」を強調して、軽減税率導入実現の論陣を張る大手新聞社に対する彼なりのジャブだろう。

一方で、進次郎はテレビにも不満を持っている。昨年、衆院選開票日の特番でも、各局の生中継に出演中、意図的に「軽減税率廃止論」を切り出したが、司会者たちからはまともに相手にされなかった。その後、ワイドショーは連日、進次郎の人気ぶりを取り上げたが、当の本人はテレビのスタジオ出演を頑なに拒むその姿勢をまったく変えようとしていない。

とはいえ、閣僚も党幹部も未経験の36歳にして、世論調査の「総理にしたい政治家」の筆頭格に挙がるのは、メディアの力なくしてはあり得ない。それも知悉しているようだ。無論、そういう世論の支持があるから、私もほかの報道陣も「36歳」を観察対象にしている。

しかし、政界きっての「メディアの申し子」は、いよいよ権力の階段を駆け上がろうとする前に、どうして「育ての親」でもあるマスコミを挑発し、ついには敬遠するようになったのか──。

そんなことを考えながらズケズケと直撃質問をしていたら、テレビ局2社のディレクターたちと一緒に行っていたはずの懇談の場が、いつしか私の単独インタビューのようになってしまった。その中身はテレビや新聞で報じられることはないので、発言メモを読者と共有しておきたい。

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