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名門企業・大企業の早期退職者が陥りやすい「意外なワナ」

「大転職時代」を生きるすべての人へ
秋山 輝之 プロフィール

早期退職は「スピード勝負」

年齢も職種も幸せな転職の判断基準にならないとすると、早期退職の募集が(たいていの場合そうであるように)急に始まったら、どう考え、どう動いたら活路を見いだせるのか。

まず、意識してほしいのは「スピード」です。

大規模な早期退職募集の場合、あなたと非常に似たキャリアの人物が多数、そして同時に、労働市場に流入することになります。いままで職場で同僚だった仲間たちが、労働市場ではとたんに競争相手になり、なおかつ(転職先の企業にとっては似たような選択肢が増えるという意味で)「市場価値を下げ合う」存在になるのです。

たとえば昨年、某大手電機メーカーの人事部長は、100名以上の東芝出身者と面談したと言います。同じ名門・東芝出身でも、1番目に面接を受けた方と100番目に面接を受けた方で、この人事部長が抱いた「希少価値感」が大きく異なったであろうことは想像に難くありません。

また、同一企業の出身者を何名か面接した結果、その印象が総じて悪かったとしたら、以降の同企業出身者は書類選考すら苦戦することになるでしょう。逆に、最初に面接した方の印象が良かったら、同企業出身者の印象も高まるでしょうが、その最初の方によって採用枠は一つ埋まってしまいます。つまり、良くも悪くも、早く面接を受けた方にメリットがあるわけです。

 

早期に決断することのメリット

スピード勝負で動くことのメリットは、面接の合格率を高めることだけではありません。

大量に早期退職を募る場合、ある企業への転職を決めた第一陣の方々に対し、他の優秀な早期退職者を誘ってほしいという、採用ミッションが委ねられることが往々にしてあります。

中途入社した組織でいきなり成果を上げるのは、優秀な人材といえどもなかなか困難なことです。しかし、求職中の元同僚に声をかけることは、比較的貢献しやすいミッションと言えるでしょう。この役割を担うチャンスがあることは、第一陣入社の特権とも言えます。

声をかけた元同僚が活躍すれば、その活躍が自身の成果となることもあります。未曽有の売り手市場で採用に苦しむ大手企業はもちろん、成長途上の企業に第一陣で飛び込み、人材採用・組織構築で成果を上げるのは、成功する早期退職者のロールモデルです。

もちろん、第二陣で入社するメリットもあります。第一陣で入社した元同僚から転職先企業の実態を聞き、職場の空気や期待される職務内容を理解したうえで就職することが可能です。また、入社済みの元同僚から推薦を受けることで、配置や処遇面についてより適したものを得られることもあります。こちらのほうが性格的にも適している方もいるでしょう。

ただし、ここで誤解なきよう注意願いたいのは、「早期退職はスピード勝負」が基本とはいえ、早ければ何でもよいという意味ではないということです。

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