金融・投資・マーケット 週刊現代

持っているだけで損する「土地」「マンション」の見分け方

ガクンと下がる瞬間は突然やってくる

帰省して、「実家の後始末」が気にかかった人も多いだろう。しかし、いずれ来ることとは知りながら、漫然と先送りしている人がほとんどではないか。ならば、一刻も早く動いたほうがいい。東京五輪を前に、不動産市況はピークを迎える。

「住みたい街」の実情

神奈川県川崎市・武蔵小杉。住みたい街ランキングの上位に名を連ねる人気の住宅地だ。この10年間で高層マンション17棟、総戸数約6600戸が新たに作られ、ざっと2万人が移り住んだことになる。

東京都心にも横浜の市街地にも30分圏内という好立地が子育て世帯を引きつけ、マンションの価格もうなぎ上りだ。

タワーマンションの相場は中古物件でも70平方メートルで7000万円といったところ。10年間で、武蔵小杉駅周辺の基準地価は7割ほども急上昇した。

不動産バブルと言っても過言ではないほど市場が過熱する武蔵小杉を歩いた――。

 

午前8時、JR武蔵小杉駅には「長蛇の列」ができる。慌ただしく改札に向かう男性会社員(30代)の話。

「毎朝、たしかに人は多いですね。マンションを買っちゃったし、子供も保育園に入れたし、この環境に慣れていくしかないのですが……。正直、駅の混雑ぶりはなんとかならないかと思います」

街を歩くと、林立するタワマンが弊害を生んでいる実態も見えてくる。とにかく風が強いのだ。ベビーカーを押す母親や杖をついて歩く高齢者は簡単に風にあおられる。

コンビニの入り口には自動ドアの前にもう一つ透明な壁が設置されている。店員が言う。

「強風が直撃するのを避けるためです。壁を設置するまでは、砂ぼこりや木の葉、ゴミ屑が飛び込んできていました。ここ10年くらいの傾向です。やっぱりタワマンが影響しているんでしょう」

タワマンは住民の日常に欠かせない日照時間も奪っていった。長年、武蔵小杉の戸建て住宅に住む70代女性が嘆く。

「あっちとこっちのマンションの間を太陽が通過していく1時間が勝負なのよ。この時間を逃すと、もう洗濯物は乾かない。あとはずっと日陰だから、寒くて寒くて。それでもまた新しいマンションが建つらしく、そうなったら一日中アウトよ」

Photo by iStock

タワマンの建設にともなって、駅前にはショッピングモールや大型スーパーが新設された。そのため、もともと地元にあった商店街が廃れていった。80代の地元商店主の男性がぼやく。

「この商店街には惣菜屋や乾物屋、布団屋、魚屋、豆腐屋……色々あったけど、みんな店を畳んじゃったよ。あれだけ大きなショッピングモールや24時間営業のスーパーができちゃったら、とても太刀打ちできない」

便利な土地という評判を聞きつけ、子育て世帯は増え続ける。結果、子供の遊び場が不足し、陽の光が差し込まない、高架下のわずかな土地を「公園」として使わざるをえない状況だという。

都市計画の専門家で、埼玉大学名誉教授の岩見良太郎氏が指摘する。

「川崎市は、都市間競争の観点から超高層マンションが建設できるように規制緩和を進めてきました。その結果、都心に通う会社員やその家族には便利な街になったと言えるかもしれません。

しかし、保育園や小学校の不足、駅の大混雑など、けっして住みやすいとは言えない新たな問題が浮上しています。以前からこの地で生活していた住民には強いビル風や日照権の問題など、重大な問題が生じています。

トータルとしての都市計画がなされていないんです。このままでは街全体の魅力は否応なく落ちていくでしょう。放置すれば不動産価格が暴落する可能性があります」