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自衛隊が悲願の空母を「急ぐ理由」と「浮かぶ疑問」

載せるのは、例の「ポンコツ戦闘機」
半田 滋 プロフィール

米軍関与が後退した理由について、安全保障担当だった柳澤協二元内閣副官房長官補は「日本と中国との争いに巻き込まれたくない米国の本音が表れた」と話す。

米国の後ろ向きな姿勢が明らかになった以上、日本は自前で尖閣諸島を含む島しょの防衛に力を入れなくてはならない。そのためには米軍の空母に代わる自衛隊の空母保有は避けられないというわけだ。

 

しかし、載せる戦闘機は「ポンコツ」

必要性に迫られた空母保有とすれば、現実味はどこまであるのだろうか。

問題は空母搭載を見込むF35B戦闘機が、航空自衛隊が18年3月に青森県の三沢基地に配備するF35A戦闘機に輪をかけた「ポンコツ戦闘機」だということである。

F35は米国で開発され、米空軍、米海軍、米海兵隊の3軍で使うことになり、3軍すべての要求を盛り込んだ結果、重量オーバーという戦闘機としての致命傷を負った。なかでも垂直離着陸が求められるF35Bはパワー不足をはじめ多くの問題に悩まされている。

「いずも」の改修では、「遼寧」のように前甲板を高くしたスキージャンプ甲板に改造する案も浮上する。だが改修してもしなくても、米海軍の空母が持つようなカタパルト(射出機)による強力な発艦機能を持たせることはできない。発艦するには機体を軽量化する必要があるため、少ない燃料、少ないミサイルで運用せざるを得ない。肝心の攻撃力は最初から削がれることになる。

島しょ防衛が目的であれば、沖縄や九州にある自衛隊の航空基地や民間空港を活用すればよいだけの話ではないのか。

この手の軍事技術の検討は自衛隊がもっとも得意とする分野である。にもかかわらず、空母保有にこだわるのはなぜか。海外における米軍との共同行動を視野に「軍隊に近い自衛隊を目指すため」と考えるほかないが、果たしてそれにどの程度の実効性があるのだろうか。