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海上自衛隊 軍事

海上自衛隊「悲願の空母」になる「いずも」の実力

かつて空母大国だった日本の意地
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11月、防衛省のある施設で、ジェット戦闘機を搭載した護衛艦「いずも」の模型を見てしまった。その模型は、現行の「いずも」がフラットな甲板を持つのに対して、やぐらのような、スキージャンプ台状の甲板を備えていた(それが意味するところは後述する)。

「これは何ですか?」と質問すると、防衛省幹部は、ただ口を濁したのだった。

「いずも」はどんな空母になるのか?

2017年末、クリスマス明けの報道で、海上自衛隊の全通甲板ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」が空母に改修される、という見出しを見かけた方も多いのではないだろうか。

[写真]海上自衛隊の護衛艦「いずも」(Photo by GettyImages)(Photo by GettyImages)

具体的には2019年度から始まる新しい中期防衛力整備計画の中で、「いずも」型(1番艦「いずも」、2番艦「かが」)を戦闘機の発着が可能なものに改修する、という話である。

一部メディアでは、改修後に空母となる「いずも」型が、米製の短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型F-35Bステルス戦闘機を搭載できるようになるのか、という話題がおどった。

つまり、これまで憲法の制約上、保有が認められないとしてきた「攻撃型空母」にあたるのではないかというのだ。これに関して、小野寺五典防衛大臣は記者団の質問に「専守防衛の立場は変わらず、検討していない」と回答している。

その詳細は後述するとして、本稿ではまず、日本と空母との関係性について述べておきたい。

 

「空母」とは、正式名称「航空母艦」の略語である。1921年のワシントン軍縮会議では、空母を「水上艦船であって、専ら航空機を搭載する目的を以って計画され、航空機はその艦上から出発し、又その艦上に降着し得るように整備され基本排水量が1万トンを超えるものを航空母艦という」と定義している。

さらに1930年のロンドン海軍軍縮条約では、基本排水量1万トン未満の艦船も空母に含まれることになった。

今回の「いずも」型は建造費1139億円。基準排水量は1万9500トンで、充分に「空母」といえるサイズである。満載排水量は2万トンを超えるので、分類上では「護衛空母」にあたる。

世界一般では「ヘリ空母」とも呼ばれるものだが、海上自衛隊では、あくまで「護衛艦」という分類にこだわって呼称している。近隣諸国に配慮してのことだろう。

たしかに、船だけ見れば空母であっても、艦載機がなければ「ただの船」であることも事実だが、海上自衛隊がまじめに「艦載機がないから護衛艦です」と言ってきたとは思えない。

世界初の「新造空母」が誕生したのは日本

ここで少々、空母の歴史をひもといてみたい。世界初の水上機母艦は、1912年、フランス海軍が「ラ・フードル」を改装し、水上機8機の収容設備と滑走台を設置して誕生した。

日本では、早くもその2年後、1914年に「若宮丸」が、特設水上機母艦として第一次世界大戦の青島攻略戦に参加している。

1918年、英海軍が、世界で初めて全通飛行甲板を採用した「アーガス」「ハーミーズ」を建造した。現在の空母をイメージしていただければいいのだが、甲板全体が滑走台となっている構造だ。

しかし、世界初の「新造空母」、つまりいちから空母として建造された戦艦は、実は1922年12月27日に完成した日本の「鳳翔」なのである。

[写真]「鳳翔」のイラスト。フラットな甲板が印象的だ(Photo by GettyImages)「鳳翔」のイラスト。フラットな甲板が印象的だ(Photo by GettyImages)

公試排水量は1万500トン、全長179.5m、艦載機は艦戦8機、同補用3機、艦攻6機、同補用2機。カタパルトはなかったものの、着艦には光学式着艦システムや、航空機のフックにワイヤーを引っかけるという、現代でも使い続けられている方式が採用された。

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