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国際・外交 ドイツ EU

2018年、「EU崩壊」がいよいよ現実味を帯びてくる

難民、民族独立、そしてドイツ弱体化…
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難民流入とテロの恐怖

2017年も残りあと3日。あっという間の一年だった。去年のイギリスのEU離脱騒動で引き起こされたEUの弱体化が、さらに進んだ一年でもあった。EUのアキレス腱は、言うまでもなく、難民だ。

4世紀から5世紀にかけて、北ヨーロッパにいたゲルマン民族が次第に南下して、西ローマ帝国を滅ぼし、最終的にヨーロッパをズタズタにしたが、今、起こっているのもそれと似ている。中東やアフリカから、凄まじい勢いでどんどん北上してくる人たちによって、EUという帝国がバラバラになりかけている。

2017年の1月1日は、「イスラム国」のテロで明けた。イスタンブールの高級ナイトクラブで大晦日から新年にかけてのパーティーが繰り広げられていたところに、イスラム国のテロリストたちが押し入り、39人を殺害した。犠牲者にはドイツ人も含まれていた。

トルコは、すでに300万人もの中東難民を庇護している。2015年にドイツが受け入れた90万人近い難民は、トルコにいた難民がゴムボートでギリシャに渡り、バルカン半島を北上してやってきたケースがほとんどだった。

その中に、過激なイスラムのテロリストが混じっているかもしれないと警告する人たちは当時もいたが、ドイツ政府はその声を「国民の恐怖を煽るポピュリズム」と蹴飛ばし、難民を入れ続けた。そして、その後まもなく、EUでテロが起こり始めたのだ。

あろうことか、ドイツの内務省は今頃になって、難民資格を取れなかった難民が行方知れずになっているケースが多数あると発表した。今年のクリスマス・マーケットはどこもかしこも、すごい数の重装備の警官に守られていた。

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現在、EUはトルコに莫大な経済的援助をして、これ以上、難民がEUを目指して海に漕ぎ出さないように見張ってもらっている。

ドイツ人は、エルドアン大統領の政治を、非民主主義だ、言論弾圧だと非難し続けているが、この国で自由な民主政治など敷いたら、あっという間に治安が乱れ、それどころかクルド族も交えた内戦状態になる可能性さえある。そうなれば、トルコにいる中東難民が一気にEUに流れ込み、EUは崩壊する。

 

ドイツ国内にはすでに300万人ものトルコ系移民がいるので、トルコ本国の混乱はたちまちドイツに飛び火し、ドイツは混乱の坩堝となるだろう。だから、本来ならドイツ人は、現在のエルドアン大統領の強権的な政治手腕に感謝しなくてはならない。

そんなわけで現在、トルコ経由の難民は減っているが、アフリカ大陸からの難民は止まらない。そのためEUは、アフリカの地場産業の振興だとか、青少年保護という名目でそちらにも経済援助をしはじめた。しかし、それで難民の波が止まるなら世話はない。

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