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東京23区「高齢者に優しいまち」最新ランキング

徹底データ分析!

あなたが老後住む街の「本当のすがた」をレポートする、東京23区研究所(東京都渋谷区)と現代ビジネス編集部のコラボ連載。第三回は東京23区に住む高齢者の方々が、実際にどのような環境で暮らしているのか、データから明らかにする。<ここまでの連載内容はこちら>

年末年始、家族で話し合っておくべきこと

前回記事では、子育てが終わったら、子育ての「ために」選んだまちから卒業することが、老後の生活を充実させるカギだと指摘した。では、どんなところに移り住むのがいいのか。家族とゆっくり過ごすこの年末年始に、以下の各部門ランキングを参考に、これからの生活について話し合ってみてはどうだろう。

田舎暮らしやふるさとへのUターンは人気の選択肢の一つだが、北海道や沖縄はもちろん、比較的近めの長野や山梨でも、一大事になること間違いなし。現実的には「やっぱり東京で」ということになるだろう。今回は、高齢者にとっての暮らしやすさという視点から、東京23区を徹底比較してみたい。

診療所の数にしろ、福祉施設の定員数にしろ、大きなまちで数が多くなるのは当たり前のことだ。そこに住むことで実際にどのくらいの恩恵を受けられるのか、何かの数字をもとに割り算をして標準化しないと、単純に比較はできない。割り算の分母(住民数など)次第で評価ががらりと変わってくるから、厄介きわまりない。

そこで、本稿では面積で割る方法を基本とした。年を取ると、どうしても行動範囲が狭くなる。「近くにどれだけたくさん(病院や施設が)あるか」は、高齢になればなるほど関心が増していくポイントだと言っていい。

ただし、江東区や品川区、大田区などのウォーターフロント地区には、人が住んでいない土地も数多くある。オフィスの集中する千代田区も同じように無住の地が多い。このため、面積といっても単純な行政区域面積ではなく、人口密度が1ヘクタールあたり5人以上の町丁だけをピックアップして足し上げた「居住地面積」を用いることにした。

以下では煩わしさを避けるため、単に「数が多い、少ない」と表現しているが、正しくは「居住地面積あたりの数が多いか少ないか」という意味であることにご留意願いたい。

 

「そこそこ健康」であるために

【図表1】東京23区の医療充実度ランキング
【拡大画像はこちら】

最初に医療の実力評価を取り上げよう。高齢者にとって、最も気になる話題だろう。

病院の病床数(一般病床数)の密度が一番高いのは文京区。次いで新宿区。この両区には国立や大学附属などの大病院が多い。中央区や港区も同じ傾向がある。当然、医療の質も高いのだが、相当有力な紹介状がないとおいそれとは診てもらえなさそうだ

入院している人もオール東京規模で、地元に住む人にとって身近な存在とは言いがたい面もある。規模はともあれ近くに病院が多いという点では、中小規模の病院が多い千代田区や荒川区、板橋区などのほうが医療の安心度は高いと言えるかもしれない。

急に体調が悪くなったとき、心強いのが救急病院(救急告示病院)だ。大病院が多い文京区や新宿区、病院の数が多い千代田区や板橋区などは救急病院も多いが、これらの区を抑えてトップに立つのが、なんと豊島区。1平方キロあたりに1院あるから、多少道路が混んでいても数分で救急車が病院に着く勘定になる。

看護師の数はどうだろうか。こちらは病床数あたりで比較しよう。上位には大病院が多い区が並ぶ。大きな病院は看護も手厚いということだ。一方、中小規模の病院が多い区では、千代田区の4位に対し、板橋区は20位、豊島区は22位と評価が分かれてくる。看護の手厚さは都心ほど高い傾向が見てとれる

「一病息災」の言葉どおり、高齢になってからの健康管理は身体の状態をうまくコントロールしていくことにある。その意味で、気軽に相談できる診療所が身近にあることは、医療の質の高い高機能な病院が近くにあること以上に重要な要素となる。

診療所(一般診療所)の数は都心、次いで副都心が高く、中心部型の傾向が明快である。診療所の科目構成は内科が圧倒的に多く、内科は昼間人口(勤務先近くでの受診)にも対応するため、都心、副都心で数が多くなる。

逆に、医療の水準が低いのは、練馬、世田谷、杉並の西部山の手地区と江戸川、葛飾の東部地区。一部を除き、いずれの指標も下位レベルにとどまっている。

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