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「2018年」にも深〜い秘密が!美しすぎる「数の世界」への招待状

「数マスター」の二人が遊んでみたら
「数学」というと難しい印象だけれど、「数」で遊ぶのは誰しも心躍るもの。数の世界の楽しさと美しさを描いた『美しすぎる「数」の世界』(講談社ブルーバックス)の著者・清水健一氏と、『素数はめぐる』(同)など清水氏との共著を発表してきた西来路文朗氏が、「2018年」に注目の「数」について語り合いました。

「犬」と「素数」は相性がいい!?

清水:一般に、数は身近だけど、数学は難しい、というイメージがあるかもしれません。数と数学のシンプルで面白い楽しみ方はないでしょうか。

西来路:新年は2018年、戌年です。「犬と素数」はどうでしょう?

清水:犬と素数?

西来路:「チワワ」。3文字です。

清水:3、なるほど素数ですね。

 

西来路:続いて「ブルドック」!

清水:5文字。5も素数だ。

西来路:「ダックスフンド」!

清水:頑張りますね。確かに7も素数です。

西来路:フフフ。次は11ですか。

清水:長くなってきましたよ。11文字の犬種、思い当たりますか?

西来路:「シベリアンハスキー」!

清水:残念。9文字です。

西来路:うーん……。「ゴールデンレトリバー」?

清水:惜しい。10文字、偶数になってしまいました。

西来路:あっ、「ラブラドールレトリバー」!

清水:おお、11文字ですね。お見事! 犬と素数といえば、戌は干支の11番目でもありすね。犬は素数と相性がいいのかな?

西来路:確かに。そのほうがずっと高尚ですよ(涙)。

清水:フフフ。

「2018年」で遊んでみる

西来路:こんどは、新年の年号「2018」を表す数式を考えてみましょうか。2018を素因数分解すると2018=2×1009です。

だから、2018=1009+1009と、2つの素数の和で書けます。

清水:素数の2倍なら、2つの素数の和で書けるのは明らかじゃないですか(笑)。

しかし、これは「4以上の偶数は、2つの素数の和で書ける」というゴールドバッハの予想ですね。

ほかにも、2018=7+2011=19+1999=31+1097というのもありますね。何組あるんでしょう?

西来路:(ノートPCを取り出して)28組もあるみたいですよ。

清水:そんなにありますか。コンピュータを使うと、いろんな法則性が具体的に確認できて、面白いですね。

西来路:はい。では、2018=132+432というのはいかがでしょう?

清水:平方数の和で表そうというわけですか。フェルマーの平方和定理ですね。

西来路:2018は4桁の数だから、カプレカ数というのもありますね。

4桁の数の各位の数字を、大きい順と小さい順に並べ直して引き算をして、その結果をまた同じように並べ直して引き算をする、という計算を繰り返していくと、どんな4桁の数から始めても、最後は必ず6174になるというものです。

ただし、5555のように4つとも同じ数字の場合は除外します。

清水:ちょっとやってみましょう。2018の各桁の数字を大きいものから並べると8210、小さいものから並べると0128ですから、これは128と考えてみると、次のようになりますね。

8210-128=8082

8820-288=8532

8532-2358=6174

なるほど、確かに6174になりますね。

単純な数遊びなのに「未解決問題」!?

西来路:他に面白い問題はないですか。

清水コラッツの問題というのがありますね。日本では角谷静夫氏が紹介したこともあって、角谷の問題とよばれていました。

西来路:有名な問題ですね。

勝手な数からはじめて、偶数なら2で割り、奇数なら3倍して1を足す、という計算を続けていくと、最後は必ず1になるという問題ですね。

清水:これもやってみましょう。

たとえば10から始めると、2で割って5、3倍して1を足すと16。

偶数だから2で割って8、また2で割って4、さらに2で割って1!

ちゃんと最後は1になりますね。2018からはじめるとどうでしょうか。

西来路:まず2で割って1009、3倍して1を足すと3028。再度2で割って1514、2で割って757。こんどは3倍して1を足すと2272。まだまだ続きそうですね……。つづきはコンピュータで計算しましょう(と入力して、少し待つ)。

……112回のステップが必要ですが、最後は1になります。これは、手計算では難しかったかもしれませんね。

清水:以前、学校の授業でその日の日付からはじめて、この計算をしたのですが、日によっては非常に長く時間がかかり、冷や汗をかきました(苦笑)。

西来路:そのぶん、1にたどりついたときの感動があったのではないですか?

清水:生徒は盛り上がってよかったのですが、授業中に気分をほぐす雑談のつもりでしたから、あまりに時間がかかって反省しました。

西来路:不規則性が問題の本質なのかもしれませんね。

清水:ええ。この計算でどんな数からはじめても最後は1になる理由は、実は、まだわかっていないんですよね。

西来路:はい、未解決問題のひとつですね。単純な数遊びが、あっという間に数学の研究領域に入っていく好例です。

清水:数学に興味をもつきっかけはいろいろあるでしょうが、このような数遊び的なことから入ってみるのもひとつの方法でしょうね。

そこで出会った現象に興味があれば、本やウェブで調べて勉強してみるというのはいい方法だと思います。

西来路さんと私とで書いたブルーバックス『素数はめぐる』は、シンプルなのに面白い現象がたくさん現れる循環小数をあつかっていて、部分的に読むだけでも、楽しむことができると思います。電卓があればいろいろ計算もできるのでなおさらですね。

西来路:数学の本は、なかなか取っつきにくいでしょうけど、頭からきちっと読み進まなくても、面白そうなところだけをつまみ読みするのもありですね。

面白いと思える事実に出会ったら、小難しい証明を読まなくても、自分で数遊びのように数をさわって遊んでみるのはいいことです。

実は、私たち専門家が研究をしているときも、こんな感じでやっていますね。

清水:まさにその通りですね。