「ハリウッド映画に負けていますか?」
スクウェア・エニックスプロデューサー
北瀬 佳範
22年前に産声をあげた国産ロール・プレイング・ゲームの金字塔、いまやハリウッドの超『ファイナルファンタジー』(以下、FF)。任天堂のファミリーコンピュータに始まり、その時々のハードの性能を限界まで駆使した華麗なグラフィック、練り上げられた世界観とストーリー、魅力的なキャラクターの数々がゲームファンの心を捉え、発売以来、全タイトルの累計出荷数は全世界で8500万本を超えている。いまやハリウッドの超大作映画に勝るとも劣らない売り上げを誇り、世界的な市場を切り開いた同シリーズ。2009年12月17日には、その最新作である『ファイナルファンタジー』が初めてプレイステーション3をプラットフォームとして発売されることとなった。『FF』のプロデューサーを務める北瀬佳範氏に、開発の裏側とこれまでの歩みを聞いた。
世界売り上げ8500万本『ファイナルファンタジー』シリーズ総指揮者
北瀬 佳範〔スクウェア・エニックス プロデューサー〕
東京・新宿にあるスクウェア・エニックス本社の受付にて。’03年にスクウェアとエニックスが合併し、『FF』と『ドラクエ』という二大ソフトを抱える業界の雄に  〔PHOTO〕中村將一(以下同)

12歳のスター・ウォーズ体験が原点

 『ファイナルファンタジー(FINAL FANTASY)』の第1作が発売されたのが1987年。それから20余年が経ち、現在では最新作の発表の度に、日本、北米、ヨーロッパなど世界中で数百万本を売り上げる「怪物」ゲームに成長している。2006年にプレイステーション2上で発売された『FF XII』は全世界で現在までに600万本以上の売り上げを達成した。

 2009年の年末に発売されるシリーズ13作目は、ソニー・コンピュータエンタテインメントが開発した最新鋭ゲーム機、「プレイステーション3」をプラットフォームとし、初めてのハイデフィニション(HD、高精細)画質の『FF』として内外のゲームファンの注目を集めている。世界最高峰のCG技術を駆使し、ハードの限界に挑み続けるFFシリーズの最新作の開発にはピーク時で100人以上のスタッフが関わり、多くの月日がかけられた。その制作総指揮をとったのが、スクウェア・エニックスのプロデューサーの北瀬佳範氏である。

 「ゲームをクリアした後に流れるエンドクレジットの長さを見ていると、本当にハリウッド映画と同じような規模になってきましたね」と笑う北瀬氏。

 彼がゲームの世界に身を置くようになった原点も、幼き日に観たハリウッド映画にあった。1978年7月、『スター・ウォーズ』が日本で公開されたのである。

「映画が好きだった父親の影響で、小学校低学年の頃には夜9時から放映していた洋画をよく観ていました。それで12歳のときに映画館で『スター・ウォーズ』を観て、すごく面白く感じたのと同時に『何でこんなにリアルなんだろう』と疑問を持ったんです。いわゆる映画のメイキングビデオというのも当時が出始めで、『スター・ウォーズ』のメイキング風景をビデオや本で見ました。ミニチュア模型を用いた特撮手法をいろいろ工夫して、当時にしては非常にリアルに感じるSFの世界を作り上げたことに衝撃を受けて、それまでは受け手として映画を観るだけだったのが、裏方の物作りをしている人たちの仕事に関心を持つようになった。今ゲームの世界で働いているのも、そのときの衝撃が原点になっていますね」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら