経済・財政

さだまさし氏が立ち上げた財団で浮かぶ「ある疑惑」

財団の理念に反しはしないか
現代ビジネス編集部 プロフィール
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財団の回答は?

財団法人を規定する「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の第84条(財団の場合は197条)には、「(理事の)競業及び利益相反取引の制限」という項が設けられている。ごく簡潔に説明すれば、理事や理事の会社が財団の事業を実行して取引を行う際には、理事会で協議し、理事会の承認を得なければならないというものだ。

「風に立つライオン基金」の副理事長であるF氏が代表を務める会社(C社)が、同財団主催のチャリティーイベントの番組制作をおこなう、というのは、まさにこのケースにあたる可能性がある。だが、前出の同財団関係者によると「C社が番組制作を請け負うことについて、理事会で話し合われたことはありません」と証言するのだ。

「C社の主要な取引先はNHKで、現在放送中の『今夜も生でさだまさし』の制作もC社が請け負っており、両社の関係はとても深い。もちろん、C社が個別にNHKの仕事を請け負うのは問題ありませんが、財団のコンサートの番組制作もC社が請け負うのは、財団法人に関する法律にも違反する可能性がありますし、ある意味、財団の私物化ともいえる行為です。

他の理事たちは、さださんの理念や思いを形にしようと、一生懸命に慈善活動を行っている。彼もなにか考えがあってやったことなのかもしれませんが、はたからみれば決してイメージのよいものではないでしょう。これでは理事会の足並みがそろわず、財団の理念も揺らいでしまうのではないかと危惧している者もいます」

 

実は、財団法人を管轄する内閣府もこの件について把握しているが、現代ビジネスの取材には「同財団からは、NHKの子会社がC社に発注したものであり、財団法人がこの契約に関与していることはなく、両社の契約に法人としての意思決定はなかったと報告を受けています」と答えるのだった。

NHKにも見解を尋ねたが、「弊社は回答する立場にありません」(NHKエンタープライズ経営企画室 計画・広報)と答えるのみだ。

では「風に立つライオン基金」はどう答えるのか。

Y代表理事の名前で返ってきたのは、

「ご指摘の各事項につきましては、事実関係を調査の上、必要な対応を行っております。なお、詳細についての回答は差し控えさせていただきます」

という木で鼻を括ったような回答だった。

改めて言うまでもなく、一般財団から公益財団に変えた同法人には、より高い透明性やコンプライアンスの順守が求められている。だが実際には、このような「行為」が放置されたまま財団運営が行われているのである。

「Y氏とF氏は、実際には評議会を開かずすべて進めたことをさださんには報告していないはずです。1日も早く、さださんにはこの運営の現実に目を向けて欲しい」(財団関係者)

チャリティコンサートの会場では、財団のスタッフが募金箱を持って寄付を募っている。その尊い寄付を受けとる前に、財団は自ら襟を正す必要があるのではないだろうか。

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