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企業・経営

楽天が「携帯事業に参入」勝ち目はどこにあるのか

インフラを握るという「野望」

楽天が携帯電話事業に参入する。同社にとっては極めて大きな決断だが、勝算はあるのだろうか。また楽天の新規参入によって携帯電話の利用者はメリットを享受できるのだろうか。両面から探った。

格安SIMの実態

日本の携帯電話市場は長らく大手3社による寡占状態が続いてきた。最後発のソフトバンクが3400億円を投じて日本テレコムを買収したのが2004年、1兆7500億円で英ボーダフォンの日本事業を買収したのは2006年のことである。

当時は、買収価格があまりにも高すぎるとさんざん批判されたが、結果はご覧の通りである。

だがソフトバンクが参入して以降、携帯電話市場には大きな動きが見られなかった。ここ数年は、格安SIM事業者が増え、市場に風穴が開くかと思われたが、このサービスも期待ほどの伸びは示していない。

携帯電話市場にあまり詳しくない読者の方もいるので、楽天の参入について考察する前に、市場動向について少々解説を加えたい。携帯電話市場についてよく知っている方は、この段落は読み飛ばしていただいて構わない。

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携帯電話のサービスには大きく分けて二つのカテゴリーがある。

ひとつは通信回線や基地局などをすべて自前で用意し、自社のインフラを使ってサービスを提供する事業者(MNO:移動体通信事業者)である。もうひとつは、自社では何も保有せず、インフラを持つ事業者から回線や基地局などを借り受けてサービスを提供する事業者(MVNO:仮想移動体通信事業者)である。

 

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は自社でインフラを保有しているのでMNOに分類される。だがb-mobile(日本通信)やフリーテル(旧プラスワン・マーケティング、現楽天)、IIJmio(インターネットニシアティブ)といった事業者は、これらの3社から回線を借り受けてサービスを展開しているのでMVNOということになる。格安SIMを提供しているのはたいていがこのMVNO事業者である。

ちなみに回線を保有している3社のインフラ整備状況には大きな差がある。旧電電公社を母体とするドコモは、巨大な回線網を当初から持っており圧倒的に有利な立場にある。

インフラ運用に余裕があることから、多くの事業者に回線を貸し出している。格安SIMサービスは、事業者名やサービス名こそ様々だが、通信回線自体はドコモというケースがほとんどである。

楽天の格安SIM事業(楽天モバイル)や、買収したフリーテルも同様で、主にドコモから回線を借りてサービスを提供していた。楽天はMVNO事業者であり続ける限り、ドコモから回線を借り続けることになる。

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