photo by gettyimaegs
政治政策 経済・財政

来年度予算案には政府の露骨な「弱い者いじめ」が潜んでいる

アベノミクスはやっぱり空っぽだった
このエントリーをはてなブックマークに追加

いつまで「積極財政」を続けるのか

「甘い見通し」と「弱い者いじめ」の一方で、「支持母体へのバラマキ」を盛り込んだ結果、「過去最大(97兆7128億円)の水ぶくれ」に――。安倍政権が先週末(12月22日)の閣議で決めた、2018年度「一般会計予算案」の内容だ。

「機動的な財政政策」はアベノミクス3本の矢の一つである。が、財政出動で有効需要を創り出すケインズ経済学的な手法があらためて脚光を浴びたのは、2008年9月のリーマンショックによって、世界が未曽有の経済危機への緊急対策を必要としていたからだ。

あれから9年以上の歳月が経過し、世界経済は平静さを取り戻した。安倍政権は、戦後最長の景気回復を目前に「アベノミクスの成果だ」と公言し、デフレ脱却宣言も視野に入れているという。一方で、日本は先進国のなかでも最悪の財政赤字を抱え、国際通貨基金(IMF)から財政健全化に軸足を移すよう促されている。であれば、もはや積極財政を続ける理由は見当たらない。

このような状況のもとで、政府・連立与党は何を意図して、どんな予算案を構築したのか。一般会計予算は来年1年間の経済動向だけでなく、日本の将来も左右する。ここでその出来をチェックしておきたい。

 

財務大臣は自画自賛するけれど……

来年度予算案の歳入の特色は、税収が前年度当初予算比で1兆3670億円増の59兆790億円に膨らむと見込んで、公債金を同6776億円減の33兆6922億円に抑えたことである。その結果、公債金依存度が同0.8ポイント減の34.5%に下がる。これは11年ぶりの低水準で、新聞報道によると、麻生太郎財務大臣が「財政健全化は着実に進んでいる」と自画自賛したという。

しかし、この話には危うい点が少なくとも三つある。

第一は、バブル期の1991年度以来の水準となる59兆790億円の税収は、本当に得られるのかという疑問だ。確かに、政府・与党は2018年度の税制改正で、730億円の個人所得増税(給与所得控除と基礎控除の増減税)と、270億円(初年度)のたばこ税増税を行い、税収増を実現しようとしている。

だが、政府が見込む税収の増加要因はそれだけではない。税収を算出する根拠となる、来年度の政府経済見通しの実質成長率を1.8%と高めに設定した“マジック”は見逃せない。この成長率は、民間エコノミスト42人の平均値(1.2%、日本経済研究センターまとめ)の1.5倍という高い水準だ。見通し通り実現できなければ、税収に簡単に穴が開く。

第二に、計画上の新規国債発行額が前年度当初比で減ったと麻生財務大臣は胸を張るが、それでも相変わらず国債発行額は高い水準にあるということだ。2018年度末には発行残高が前年度末比19兆円増の883兆円に、年間の利払い費が前年度補正予算比で9000億円増の9兆円に、それぞれ膨らみ続けることには変わりない。

第三に、国債発行計画を当初計画通りに抑制できる保証はないということだ。実際、2018年度予算案と同時に決めた2017年度補正予算案では、公共事業費の上積みのため1.2兆円の国債増発を盛り込んでいる。当初予算で抑え込んでも、結局は補正予算で増やすという、いつもの“骨抜き”パターンがくり返されるなら、財政再建は危うくなる。

国債依存度は、ピークだった2009年度の51.5%に比べれば改善したと言えるが、底だった1990年度の9.2%に比べると4倍近い。他の先進国と比べると、その深刻さは明らかだ。2017年度の数字でみると、日本に次ぐフランスが23.5%に達する以外は、アメリカが10.8%、イギリスがが4.4%、ドイツは2%という低水準だ。

にもかかわらず、政府・与党は総選挙の際に、消費増税の増収分のうち1.7兆円を借金減額から教育無償化などに回すとし、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度に黒字化するという目標の先送りを決めた。来年6月をメドに新たな目標を設定する構えだが、2~5年の先送りは不可避だという。

それまでにリーマンショック級の出来事が起これば、日本だけが財政出動という手段を封じられたまま危機対応を余儀なくされることになりかねない。懸念が現実になれば、いまの政権担当者の無責任な選択が歴史に刻まれることになるだろう。

記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク