政治政策 格差・貧困

平均年収186万円…日本に現れた新たな「下層階級」の実情

これがニッポン「階級社会」だ
橋本 健二 プロフィール
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「新しい階級社会」の正体

それは、程度の差はあれ安定した生活を送り、さほど強い不安もなく、満足や幸せを感じながら生きることのできる人々と、これができない人々の違いである。『新・日本の階級社会』は、その膨大な分析結果のエッセンスを詰め込んだものである。

アンダークラスは現状に強い不満を抱き、格差の是正を求めている。これに対してメインストリームの三階級は、格差や貧困を容認する傾向が強く、アンダークラスと対立している。メインストリーマーたちを前に、アンダークラスはあまりにも無力である。

しかし希望もある。実は同じように低賃金で働くパート主婦、資本主義から距離を置く専業主婦、そして大資本との競争に苦しむ旧中間階級は、格差に対するスタンスで、アンダークラスに接近している。所得再分配によって格差を縮小させ、貧困を解消するための政策を支持する傾向が、アンダークラスと同じくらいに強いのである。新しい階級社会に生まれた、新しい政治的対立軸である。

また新中間階級と正規労働者は、格差拡大を容認する傾向が強いといっても、一枚岩ではない。その内部には、格差拡大に反対して所得再分配を支持し、同時に他民族との協調と平和主義の立場に立つリベラル派が、かなりの比率で存在している。

 

国政は自民党の一強支配が続いているが、その支持基盤は意外に強くない。自民党を積極的に支持しているのは、民族排外主義と軍備優先、そして自己責任論にもとづく格差拡大容認論に凝り固まった一握りの人々であり、それ以外は、必ずしも強く支持するわけではない穏健保守とでもいうべき人々である。

また、かつては貧困層にまで広がっていた自民党の支持基盤は、格差拡大の進むなかで次第に浸食され、富裕層に大きく偏るようになっている。とくに旧中間階級は、かつては自民党の強固な支持基盤だったが、近年では自民党支持率が低下し、野党支持が他の階級より多くなっている。

現状を変えるために必要なのは、格差縮小を一致点として、アンダークラス、主婦、旧中間階級、そして新中間階級と労働者階級のなかのリベラル派の支持を、一手に集めることができるような政治勢力を形成することだ。

すでに支持基盤は形成されつつある。多くの人々が、新しい政治勢力の登場を待ち望んでいるのである。

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