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落日のメガバンク・地銀は「土日営業」導入で生き残れるか

再び始まる大リストラと大合併 

「口座維持手数料」って何?

銀行員「受難の時代」は'18年も続く。

日本銀行のマイナス金利政策で国内の収益減に歯止めがかからない。大企業は内部留保を溜め込んでいて、銀行融資を必要としていない。

金融コンサルティング会社「マリブジャパン」代表の高橋克英氏が言う。

「その結果、法人向け融資から撤退する銀行が相次ぐでしょう。すでに三菱UFJ信託銀行が法人融資からの撤退を表明しています。

法人向けの貸し出しは、融資先企業の財務分析や業界動向の把握など、手間がかかる割に、金利がここまで下がれば儲けが少ない。これまで銀行内では法人融資を行う法人営業部が花形でしたが、今後、日の当たらない部署になるのは間違いありません」

その上、フィンテックやAIの発展で銀行員の仕事がコンピューターに取って代わられていく。

あるメガバンク内の研修会で講師に呼ばれた外資系金融機関OBの金融アドバイザーが匿名でこう明かす。

「これまで、40代の行員向けに『黄昏研修』と称した退職後に向けた研修がありましたが、最近は30歳前後の若手行員向けの研修会が行われています。内容はAI時代における銀行員の業務内容の変化についてのもの。

たとえば、住宅ローンや小口融資の判断もAIで代替可能ですし、フィンテックによって決済業務も様変わりしました。

これまでのような、現金を数えておカネを貸し出す銀行員の業務は不要になっていくのです。みんな暗い顔をして聞いていたのが、印象に残っています」

 

かつては年越しのための現金を引き出そうと、年末の銀行窓口は非常に混み合っていたものだ。

だがそれも、コンビニにあるATMでどこでも現金を引き出せるようになり、現金以外の決済方法が充実した今、過去の光景になった。銀行の窓口は歴史的な役目を終えつつあるのだ。

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とはいえ、まだまだ銀行は多くの人員を抱えている。'17年には3メガバンクで合計3万2500人分の業務削減が報じられたが、大リストラは始まったばかり。

しばらくは余剰人員にも仕事をさせなくてはならない。そこで、経営陣が目をつけるのが「土日営業」だ。

「融資では儲けにならないので、資産運用の相談に乗って、金融商品を売り、手数料を稼ぐビジネスモデルに転換しています。

しかし、サラリーマンなど、平日忙しい人は銀行窓口が開いている時間帯に足を運べません。なので、'18年は土曜日や日曜日の窓口営業が全国の銀行で始まる

メガバンクではすでにターミナル駅を中心に休日営業の窓口を開いていますが、この動きがさらに広がります」(東京商工リサーチ情報本部長・友田信男氏)

めぼしい融資先も少なく、マイナス金利で利ザヤも稼げないのならば、銀行にとって、顧客の預金は「邪魔」なものになりかねない。貯金箱代わりに預けられても、口座の維持管理に経費がかかるばかりで困る、というのが銀行の本音だろう。

「すでに法人からの預金を断っている銀行もあるほどです。かといって、預金にマイナス金利を適用すると反発が大きい。

そこで'18年に銀行が『口座維持手数料』を導入する可能性があります。個人の場合は年間数千円、法人は数万円の手数料を取られるイメージです」(経済ジャーナリスト・須田慎一郎氏)

メガバンクよりも苦しいのは、地方銀行だ。地方経済の衰退は加速している。融資先がなく、顧客が高齢化していく地銀は切羽詰まった状況が続く。岡山商科大学教授の長田貴仁氏が解説する。

「私のゼミ生が中国地方の有力地銀に内定をもらいました。その地銀の頭取が大学に来て講演をする機会があった際、その方が冒頭言ったのは、『父兄はうちの銀行に就職が決まって喜ばれたでしょう。ところがそれは20年前、30年前のイメージです』ということ。

その頭取は、こうも言いました。『将来、銀行がどうなっているのか、わからない。自分の食い扶持は自分たちの頭で考えて欲しい』と。地銀のトップもこのままではジリ貧だということはよくわかっている。しかし、打つ手がないのです」

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