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人口・少子高齢化 日本

理研が非常勤職員を「大量雇い止め」で上がる現場の悲鳴

波紋はどこまで広がるか

最先端の研究を支えてきた彼らが…

国内最大の研究機関「国立研究開発法人 理化学研究所(以下、理研)」の非常勤職員が、2018年の3月末以降、大量に雇い止めされることになった。最先端の研究発表や研究事務を長年支えてきた職員たちが、一方的に導入された就業規則によって、職場を去らなければならないのだ。

理研は物理学、工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学など幅広い分野で研究を進める、日本唯一の自然科学の総合研究所。1917年に財団法人として創設され、株式会社、特殊法人を経て、2003年に文部科学省所管の独立行政法人として再発足。2015年に国立研究開発法人理化学研究所となった、100年の歴史がある日本を代表する研究機関だ。

その理研が、非常勤職員の契約期間を5年上限とするルールを導入したのは、2016年3月のことだ。非常勤職員たちは戸惑い、労働組合とともに反対の声をあげたが、さらに彼らを混乱させたのが、理研が交渉の中で、雇い止めをする明確な理由や、人数を明らかにしなかったことだ。

 

雇い止めの期限が来年3月末に迫るなか、交渉にまともに応じようとしない理研の態度に労働組合は憤り、今月18日、東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。

理研の雇い止めは、「改正労働契約法」の趣旨に反する恐れがあると同時に、研究者の将来や、他の独立行政法人にも大きな影響を及ぼす可能性がある。問題点をリポートする。

雇い止めされる理研の職員が会見(厚生労働省・2017年12月18日)

涙を流しながら

12月18日、来年3月末で理研を雇い止めされる非常勤職員6人が、労働組合とともに厚生労働省で記者会見を開いた。内訳は、60代の男性1人と、30代から50代の女性5人。全員が6年以上勤務している。「雇い止めに納得できない」と涙を流しながら訴えたのは、40代の女性だった。

「雇い止めを禁止するような法律がこの国にはある。にもかかわらず、どうして理研が決めたルールで雇い止めになるのか、理解できません」

この女性が指摘している法律とは、2013年4月に施行された改正労働契約法のことだ。簡潔に言うと、非正規の労働者を5年以上同じ職場で雇う場合、本人が希望すれば、原則「無期雇用」にしなければならないことを定めている。この法律に基づけば、会見した6人は、2018年4月以降、「無期雇用」を申し込む権利が発生するはずだった。

ところが理研は、独自に決めたルールによって、それを阻止しようとしているという。

理研の研究の下支えをしている非常勤職員には「アシスタント」「パートタイマー」「事務業務員」といった職種があり、職員のほとんどが女性だ。もともと契約期間に上限がなく、1年契約を毎年更新し、10年以上働き続けてきた職員も多い。過去に半年以上の休業期間をおいて、再雇用されているケースも少なくない。

こうした実態があるにもかかわらず、理研は2016年3月、労働組合や労働者代表の反対を押し切って、契約期間の上限を5年と定めた。それも、「2013年4月の契約」に遡って適用し、「2018年3月で雇い止め」と決めたのだ。

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