国際・外交 週刊現代 北朝鮮

「米朝開戦の可能性は100%」元外交官がこう断言する理由

金正恩政権「滅亡の日」は近いのかも…
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パニックに陥る北朝鮮

中国はすでに、「春危機」への準備に余念がない。李大音氏が続ける。

「すでに中朝国境の鴨緑江に架かる中朝友誼橋を閉鎖し、平壌との航空便をストップしました。北朝鮮製繊維製品の輸入も禁止し、北朝鮮への液化天然ガス輸出も禁じた。1月までに中国在住のすべての北朝鮮人を追い出します。

その一方で、11月末から内モンゴル自治区で、北朝鮮との国境を管轄する北部戦区の第78集団軍が、本格的な軍事演習を始めています。これは近未来に米朝開戦となった時に、国境を突破して北朝鮮に突入する演習です。

他にも、国境沿いの吉林省では、核汚染から身を守る訓練を行ったり、北朝鮮難民用施設の建設を始めたりしています」

それでは、アメリカによる北朝鮮空爆はどのような形で行われるのか。前出の李永鐘氏が語る。

「空爆は限定的なもので、短時間のうちに電撃的に行われるでしょう。その目的は、北朝鮮の核とミサイル能力を減退させることです。

咸鏡北道豊渓里にある核実験場、平安北道寧辺にある核基地、それに主なミサイル発射場や生産工場などを、ピンポイント攻撃するわけです。

もちろん、平壌の朝鮮人民軍司令部も叩きます。その前に、サイバー攻撃をかけて朝鮮人民軍の電子システムを破壊するでしょう」

 

こうしたアメリカ軍の攻撃に対し、北朝鮮が常々公言しているように、「ソウルを火の海にする」リスクはないのか?李氏が続ける。

「朝鮮人民軍は不意打ちを喰らって、パニックに陥るはずです。そしてひたすら防御に集中せざるをえないため、韓国に反撃する余裕などありません。それくらい、米朝の力の差は、歴然としているのです。

もしも朝鮮人民軍が韓国を攻撃しようとしたなら、アメリカ軍はその戦力もすぐに殲滅します。かつ金正恩政権の転覆に着手する。

金正恩委員長は挑発的で好戦的な指導者ですが、アメリカとの全面戦争は自殺行為だということくらいは分かっています。そのため全面戦争には踏み込めない。

そうかといって、防御一方になれば、金正恩委員長に対する失望感が、北朝鮮の軍や党のエリートはむろん、一般住民の間にも広がっていく。

つまり、ひとたびアメリカ軍が攻撃を加えれば、アメリカ軍に抵抗してもしなくても、金正恩政権は滅亡するのです」

1950年の朝鮮戦争で、アメリカ軍を中心にした国連軍が北上した際、金正恩委員長の祖父・金日成主席は、一目散に鴨緑江を渡って、中国に落ちのびた。

だが「血盟関係」と言われた朝鮮戦争当時と違って、現在の中朝関係は、前述のようにむしろ一触即発の状態にある。金正恩委員長は、たとえ無事に鴨緑江を越えたとしても、中国当局に召し捕らえられてしまうのは確実だ。

現在の北朝鮮は、もう一つの伝統的後見国であるロシアとは蜜月を築いている。そのため、ロシア政治が専門の中村逸郎筑波大学教授によれば、「金正恩一家はロシアに亡命する」という。

「ロシアは北朝鮮からの要請を受けて、'13年にロ朝国境近くのハサンから北朝鮮の羅先まで、全長54kmの鉄路を完成させました。その時、線路の地下に、有事の際に金正恩一家が亡命できるようトンネルを作ったのです。

金正恩一家がハサンまで脱出できれば、そこからウラジオストク軍港を経て、北極海のムルマンスク軍港へ行く。

最後は北極圏にある非武装地帯のスヴァールバル諸島に、身柄を移します。そこにはすでに、金一家の亡命用の別荘地まで用意してあるのです」

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