集めたデータをシステムにフィードバックし、システムを制御するのはまさしくIoTの出口でもある。

「インダストリー4.0」とも言われる製造業のIoTは、センサーを利用して工場内のデータを収集し、それに基づき温度や原料配分のコントロールを自動化したり機械のメンテナンス時期を判断したりすることで、効率化を図るというものだ。トイレIoTの節水管理と考え方は共通している。

IoTの概念とトイレIoT(筆者作成)

トイレで健康状態もチェックできる

扉で空室管理をするだけでなく、「出たもの」の情報をセンサーで集めて、人の健康状態をチェックするIoTトイレも実証実験が始まっている。

サイマックスはトイレ後付型の分析装置で尿成分を分析し、健康状態をチェックするサービスを福岡で実験中だ。

NTTコミュニケーションズなどが受託した「IoTセキュリティ基盤を活用した安心安全な社会の実現に向けた実証実験」では、TOTOが排泄物のにおいから健康状態をチェックするシステムを提供する(http://www.toto.co.jp/company/press/2017/09/pdf/2017090402.pdf)。

デジタルハリウッド大学大学院では、便の画像撮影と微量の潜血を測定するセンサーを組み込んだシンギュラリティトイレ「GAIA(ガイア)※仮称」を学内のトイレに設置。同大学院に在籍中の石井洋介氏が開発した微量の血液成分(ヘモグロビン)計測と排便の状態から健康状態を推察するプロトタイプモデルを活用して健康状態を判定できるトイレの開発に取り組む。
(参考:デジタルハリウッド大学大学院が琉球インタラクティブらと協力し、IoTトイレ実用化に向けた実証実験を開始

トイレの個室という狭い空間から、センサーはさまざまなデータを得ることができる。

IoTとは、「データを集め、集めたデータを分析し、見える化することで、人が根拠を持って意思決定をしたり、制御の自動化を実現し、課題を解決する仕組み」であり、トイレIoTには、まさしくその全てが詰まっている。

今そこに存在する現象をデータに変えて活用できる企業とそのまま漫然と見過ごす企業、どちらがこの先生き残れるかは明白だ。

「集めて蓄積することで役立つ情報に変えられるデータは無いか」という視点で、オフィスや工場や店舗などの現場をもう一度見直してみてはどうだろうか。


【本文中で紹介したサービス】
パーソルプロセス&テクノロジー「Toilet IoT」
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社「IoTトイレ」
小田急アプリ
東京メトロアプリ
富士通九州システムサービス「Internet of toilet」
KDDI「KDDI IoTクラウド ~トイレ空室管理~」
KDDI「KDDI IoTクラウド ~トイレ節水管理~」