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近現代史 社会風俗

戦前日本は暗かった…なんて大ウソ!? 昭和のクリスマス珍事件簿

尋常じゃない!

今年(2017年)もまもなくクリスマスがやってくる。話題書『愛と狂瀾のメリークリスマス』で、なぜ異教徒の祝祭が日本化したのかという「謎」を明かした堀井憲一郎さんに、戦前のクリスマスの意外な狂騒っぷりをご紹介いただいた。暗いと思っていた戦前イメージがガラッと変わります。

国際的な孤立のなかで

クリスマスはどう過ごしますか。

この時期になると、そういう質問を見かける。

テレビで答えてる場合は、だいたい「仕事です」「家族と過ごします」「友だちと集まってパーティします」というのが定番で、たしかに一般人もそのあたりが多いのだろう。「彼女・彼氏と過ごします」というのが抜けているけど、まあ、それはいい。

「大騒ぎします」というのは、あまりない。クリスマスイブははっちゃけます、という人もいるのだろうが、一般的ではないだろう。

騒ぎたい人は10月末のハロウィンで騒いで、12月末のクリスマスは静かに過ごす、というのが、ここんところのスタンダードにおもえる。

ただ、かつて、クリスマスイブには大騒ぎしていたことがあった。

それも尋常じゃない騒ぎ方をして、世間の顰蹙を買う、というような時代があった。明治時代からの新聞を通して見る限りは、それは三度あった。

 

ひとつめは昭和初期である。 

そもそも、クリスマスに騒ぐのは早くても戦後からだろうと勝手におもっている人が多いので、昭和初年のクリスマスと言われてもピンとこないとおもうが、日本のクリスマス騒ぎの歴史は古い。明治にはクリスマスに馴染んでいた。だから昭和初期には自分たちの祭りとして、ふつうに騒いでいたのだ。

それが昭和3年から昭和11年にかけて、ピークを迎える。

ちなみに「昭和初期の歴史」を教科書的に振り返ってみると。

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昭和2年1927年 金融恐慌
昭和3年1928年 張作霖爆殺
昭和6年1931年 満州事変
昭和7年1932年 五・一五事件
昭和8年1933年 国際連盟脱退
昭和11年1936年 二・二六事件
昭和12年1937年 中国との全面戦争開始(当時の呼称は支那事変)

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こういうことになる。もっのすごーく暗そうである。国際関係のことだけ考えて生きてる人は暗澹たる気持ちになっていただろう。

しかし、それは、いまでも北朝鮮と中国のことだけ考えて生きていたらとても暗い気持ちになるのと同じである。北朝鮮のミサイルと今後の日本の防備について深く考えるクリスマスを過ごそうという人はあまりいないとおもう。

それは1927年でも同じである。

当時すでにクリスマスは賑やかに過ごすのが恒例だったので、満州事変や五・一五事件があっても、みんなふつうに過ごしていた。

ふつうというか、それまでに比べて、より派手に激しく過ごしていた。いまから見れば国際的に孤立していく過程にあり、どんどんまずいことになっている時代であるはずなのだが、その時代のほうがより激しくはっちゃけたクリスマスを過ごしていたのだ。

昭和初期は「クリスマスイブにはダンスを踊って過ごす」というのが大流行していた。それはあまりに派手になり、顰蹙をかっていく。

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