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企業・経営 ビックデータ

「とりあえずデータ出して上司」が部下を不幸にする

職場での「数字」の正しい活用法
「とりあえずデータを出して」。そう上司から頼まれた方、あるいは部下にそう頼んだことがある方、ともに少なくないはずだ。ビジネスにおいて、数字はたしかに重要。しかし、この指示ははたして適切か? 「ビジネス数学」の専門家・深沢真太郎氏が、職場における正しいデータの活かし方について語る。

「数字で説明しろ」という正論

あなたは部下に対して、「それじゃわからない。きちんと数字で説明してくれ」といった主旨の発言をしたことはないでしょうか。

ビジネスにおいて数字の重要性は言うまでもありません。ゆえに上述の部下への指示は、まったくもって正しいと言えるでしょう。

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しかし、正しいことを言っていればビジネスは必ず成功するのかというと、そうではないように思います。

たとえば「残業を減らせ」という正論。残業を減らせばビジネスがうまくいくのなら、誰だって残業などしません。しかし現実はそうではない。

私がここで申し上げたいのは、ビジネスの世界で上司から部下に対して行われる「数字で説明してくれ」という正論が、はたして本当に有効なものなのかを疑ってみてはどうか、ということです。

「とりあえずデータを出して」

今からご紹介するのは、私が企業研修でお会いした、ある若手ビジネスパーソンの実体験です。

 

わかりやすくするために、その人物を山田(仮)とし、会社のホームページのリニューアルを企画しているとします。その山田の相手を上司とします。

ある日、山田は上司にリニューアルするかどうか意思決定を求めました。

山田「今のホームページはもう5年もそのままであり、リニューアルするべきです」
上司「それだけじゃ判断できないから、とりあえずデータを出して」
(後日)
山田「関連しそうなデータを集めて資料にまとめました」
上司「…あのな、これじゃ何が言いたいのかわからないし、判断できない」
山田「ではどのようなデータが必要なのでしょうか…?」
上司「そんなことくらい自分で考えろ。それがお前の仕事だろう」
(後日)
山田「リニューアルの件、自分なりに考えてみました。3分ほどお時間いただけますか」
上司「ああ、他にもっと重要な案件ができたので、その件はいったん保留で」
山田「……」

いかがでしょう。どこの企業にもありそうな、上司と部下とのコミュニケーションではないでしょうか。今も山田はどうしたらよいかわからず、このような上司への対応に悩んでいます。

そこで1つ問題提起。この事例をお読みいただき、あなたはどのようなことをお感じになったでしょう。

この上司が意思決定できないのは、部下の責任? それとも…?

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