民泊 不動産

「違法民泊」に独りで泊り続けた女子の想像を絶する経験

日本全国に広がる「闇の世界」
吉松 こころ プロフィール

長い髪の毛が1本…

灯りがついてほっとしたのもつかの間、その部屋での驚愕は続いた。

7畳ほどの居室に入ると、カーテンがついていなかった。向かい合わせに建つ大型マンションからは、電気のついた私の部屋が丸見えだ。

[写真]カーテンがなかった違法民泊の寝室(写真提供:吉松こころ)カーテンがなかった違法民泊の寝室(写真提供:吉松こころ)

ひょっとして、向かい側から、慌てふためく私の様子をホストが見つめているのではないか……と思うほどプライバシーのない部屋だった。

テレビもなく、カーテンもない部屋では、寝る以外することがないと、布団をめくって絶句した。長い髪の毛が1本、シーツに絡みついていた。明らかにリネン交換をしていない。

10月末の、夜になると冷え込む時期だったが、寝具は薄っぺらなかけ布団が1枚あるのみ。窓辺からの冷気にブルブル震えながら、「これがビジネスと言えるのだろうか」と怒りが湧いてきた。

襟足にかゆみを感じたのは、その翌朝だった。掻いていたら、手にブツブツとしたものを感じる。

かゆみは徐々に広がり、出社後、後輩に見てもらうと、首から背中にかけてじんましんを発症していた。医者に行くと「ダニに刺されたのだろう」と言う。

[写真]首にできたブツブツはなかなか消えなかった(写真提供:吉松こころ)首にできたブツブツはなかなか消えなかった(写真提供:吉松こころ)

繰り返すが、民泊はビジネスだ。収益を得る以上、安心や安全、顧客満足の向上は欠かすことができないはずだ。だが、これらの民泊のホストにそういった意識があるとは、到底思えない。

経営も不動産も知らないズブの素人でも簡単にスタートできる民泊ビジネス。それに対して、ホテルや旅館業界が猛反発するのも無理はないと思った。

貸主は公務員・大企業サラリーマン・銀行員

「大体、ふてぶてしいんですよ」

合法民泊の許可申請を数多く扱ってきた、日本橋くるみ行政書士事務所の石井くるみ行政書士は、違法民泊ホストたちの態度をこう表現した。

 

石井氏はこれまでに「心理的瑕疵のある事故物件は民泊で回せばいい」「掃除なんかしない。利回りが下がるから」「バレなきゃ大丈夫」といった、民泊ホストたちの驚くべき発言を、嫌というほど聞いてきたのだ。

ホストになる人々の本職を見ると、最も多いのが公務員だという。続いて大企業勤務のサラリーマンや銀行員だ。

「最近は残業も減ってきていますから、副業としてやりやすいんでしょう。しかし定時の5時に帰っても、悪質な違法民泊の管理さえしないんですから、たまりません」(石井氏)

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