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千葉の有力病院で、院長の手術後に「患者が連続死」の怪

「遺族は医療ミスだとは知りません」
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カルテに残された真実

「院長の不用意な手術で、患者が亡くなるケースが続発しています。

院長に対する個人的な恨みはありませんが、このような事故が起きていることが報じられて、病院の安全対策が強化されるようになれば、社会的にも意味があるでしょう。そう考えて、これらの書類をお送りします」

今年9月、本誌編集部に、分厚い書類の入った匿名の茶封筒が届いた。

中にはこのような手紙とともに、複数の患者の診療録(カルテ)のコピーが大量に入っていた。

もちろん、診療録は極めて機密性を求められる個人情報である。この書類も誰がプリントアウトしたものか特定できないように、印刷日や発行者の名前は黒塗りされている。

診療録はすべて、千葉県にある成田富里徳洲会病院の患者のものだ。手紙によると、院長の白部多可史氏が手術を行った患者が次々と亡くなっているという。

「院長が行った手術があまりに拙かったために、本来であれば亡くならずに済んだはずの患者が死亡したことは間違いありません。それは診療録を専門家に見ていただければわかるはずです。

さらに問題なのは患者の遺族は、患者が死亡したのは手術の失敗であったという事実を認識していない点です」

 

この告発を受け、本誌は成田富里病院の関係者に取材を行うことにした。すると手紙の内容が裏付けるような複数の証言が得られた。同病院に現在も勤務中の医師が語る。

「院長が自身で行った手術が失敗して、患者が亡くなったことが複数回あります。典型的な例はXさんの例。

食道がん・胃がんが進行していて、副腎転移が認められると術前診断され、膵臓と副腎を切除しましたが、実際には転移はなかった。この患者さんは術後数日で亡くなっています。

他にも膵臓がんだと診断され、いざ膵臓を摘出したものの、実際にはがんではない腫瘍で摘出の必要はなかったというケースもありました。その患者さんも術後まもなく死亡しました。

院長自身、ある患者さんが亡くなった後の朝礼で『死ななくていい患者さんを死なせてしまった』という主旨の発言をしたと、朝礼に出席した看護師から聞きました。院長自身も自らの手落ちを認識していたようです」

これらの手術失敗は本当に院長の「手落ち」によるものだったのか?

消化器外科の権威である竜崇正・浦安ふじみクリニック院長に、Xさんの診療録を確認してもらった。

「結局のところ、術前診断が甘い。これに尽きます。事前の計画が不十分なので、術式が定まらないで途中で変わってしまう。これは外科医として最も避けなければならないことです。

このケースでは、術前診断では副腎転移だということでしたが、実際には褐色細胞腫だった。きちんとホルモンの数値を見ていれば副腎腫瘍かどうか診断できたはずです。

褐色細胞腫をいじると血圧がはね上がります。それを全身に回さないように、最初に静脈をブロックしてから動脈を取る。そうした手術の工夫が必要です。

静脈から最初に止めるとそこが鬱血するので、素早い対応が求められる難しい手術になります。この医師は褐色細胞腫の管理ができていなかった」

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