Photo by iStock
保活 人口・少子高齢化 夫婦

保育園「待機児童数」の悲しいカラクリが見えてきた

孤独な保活ママを救え!【前編】
このエントリーをはてなブックマークに追加

「待機児童」とは、2001年に当時の小泉元首相が国会の所信表明演説の中で語ったことによって、一気に世間で認識されるようになった言葉だ。

昔から地域に根ざして子どもたちを預かり、保育料が安く、庭があるなど施設もすぐれている……などの理由から、保育園入園を考える家庭で、まず子どもを入園させたいと考えるのが認可保育園だろう。その認可保育園に入園したいと希望しても入れていない子どもが「待機児童」である

待機児童が多い地域では、認可保育園に入園するのは至難の業である。待機児童が最も多い東京都内のある地域では認可保育園に入園を希望する子どもの約半数しか入園できていない、というデータもあるほどだ。

認可保育園に子どもを預けるために、自治体が儲けている指数(条件のようなもの。後述)をあげるため、まずは認可外保育施設に子どもを預けている事実を作るための産前産後の「プレ保活」まで必須となっている状態は、もう20年も前から変わらず続いている。

少子化のはずなのに、なぜ待機児童は減らないのだろうか。そこにはさまざまな「カラクリ」がある。

来年4月の新年度入園はすでに〆切

12月も半ばを迎え、東京23区内など多くの自治体で、来年度2018年4月に新たに子どもを認可保育所に入所させたい親たちからの入所申請の一次募集はほぼ締め切られている。かつては12月末から遅いところでは1月半ばまで申請を受け付けている自治体もあったのだが、〆切が早くなったのは2015年度の入園申請からだ。

2015年4月からスタートした「子ども子育て支援新制度」では、介護保険の介護認定と同じように、保育を利用する時間や子どもの年齢によって、親が3つの区分の認定を受けなければならない仕組みに変わった。その「支給認定」に関する作業が増えたことから、各自治体は入園申請の〆切時期をかなり前倒しにせざるをえなかったのだ。

2018年4月から仕事に復帰しようと考えている親たちの認可保育所に関する「保活」はひととおり一段落、といったところだが、入所の可否発表は多くが2月の半ば以降。それまでは緊張が続く。「保育園落ちた!」という場合に備えて、認可外保育施設などを探すなどの対策をしなければならず、一段落といっても「保活」が終わったわけではない。

そこで、今からでもできる「保活について家族が楽になる方法」をお伝えしたい。前編である今回は、子育て中ではない人にも知って欲しい、過酷な「保活」の現実についてお伝えする。

 

認可外保育所の自治体監査は実質2割程度

そもそも、まずは保育園に入るための活動、いわゆる「保活」とは何か、ということについて説明しよう。

本来、児童福祉法第24条には、子どもを保育したいと親が思ったら、市区町村が責任を持って保育を行うことが明記されている。しかし、現実には保育施設が足りない状況がある。そこで、保育所に入るための活動=「保活」が必要になっているのだ。この言葉は2012年に「AERA」が作った言葉である。

日本で子どもを預けることができる保育施設には大きくわけて「認可保育所」「認可外保育施設」の2種類に分けられる。「認可保育所」とは児童福祉法で定められた施設の広さや子供ひとりあたりの保育士の配置人数、給食の設備などをクリアして都道府県に「認可」された、定員20人以上の保育施設を指す。さらに市区町村が認可する定員19人以下で主に0〜2歳を保育する「地域型保育」も「認可」に含まれている。それぞれ公立、私立の施設があるが、いずれも申し込みの窓口は市区町村になる。

現在は介護保険にならって「給付制」で運営されており、親の保育の必要度に応じた「認定」を受けなければならない。運営の費用は国が半分、都道府県と自治体が4分の1ずつ負担するほか、保護者が負担する保育料を加えて運営されており、保育料は市区町村ごとに世帯の税額によって決まる。

一方、「認可外保育施設」は児童福祉法最低基準を満たしていなかったり、満たしてもあえて施設独自の保育を行うために認可を受けていない施設だ。こちらを利用するために介護保険のような「認定」を受ける必要はない。施設によっては市区町村から多少の補助を受けているところもあるが、認可保育所に比べれば保育費が高額になる場合が多い。

認可外保育施設の中には、「認証保育所」(正式には「東京都認証保育所」)や、「企業主導型事業所内保育所」など、東京都や内閣府が運営許可を出している施設もある。東京都認証保育所は東京都が単独で助成金を出して運営している保育施設で、児童福祉法で定められた認可保育所よりも一段低い東京都独自の基準で運営されている。

元々待機児童解消のために始められた制度で、現在は各地に同じように市区が単独で助成金を出している保育所ができている。また、企業主導型事業所内保育所は、昨年度からスタートした新しい制度で、主に企業や各事業所が、自社の職員の子どもを預かるために設置する施設だ。

もちろん、地域の子どもたちも保育することができるが、施設との直接契約のため、市区町村の監査の対象外になる。認可外保育施設には、都道府県の訪問監査などが行われることになっているが、あまりにも多すぎるため、東京都内でも認可外の2割しか訪問監査が実施されていない。

記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク