枝野行革担当相が漏らした
「鳩山首相、小沢幹事長Wリセット」

5月危機回避の秘策はあるのか

 清々しい風薫る5月、政界ではどろどろした思惑が交錯する。「清」と「濁」を併せ呑むのはこれまでのわが国政界の常で、呑んでも「二律背反」にならない。

 今回の鳩山由紀夫首相の沖縄訪問を「鳩山さんらしい」と評価する向きも少なからずある。5月4日は丸1日かけて、仲井眞弘多知事をはじめ、県議会議長、宜野湾市長、名護市長らと会談、そして市民代表らとの対話集会に出席するなどの中で、謝罪と説明を繰り返した。

 官邸サイドの一部の反対を押し切っての沖縄入りは、事前の事務方による根回し(ボス交)なしのぶっつけ本番だった。そしてすべてを公開した。そんな鳩山流行脚を、少数意見ながら、「あれはあれで愚直な鳩山さんらしさが出ていて良かった」というのである。

 だが大手メディアの反応は、すべてが否定的なものだった。各紙社説を見てみると、
「首相沖縄訪問―月末まで何ができるか」(『朝日新聞』(5月5日付朝刊、以下同じ)、
「首相の沖縄訪問―今さら"県内移設"では」(『毎日』)、
「首相沖縄訪問―遅すぎた方針転換と説得工作」(『読売』)
  など、不評嘖々であった。

 同日夕、帰京前に那覇市で行った同行記者団との会見で「学べば学ぶにつけて(米海兵隊の各部隊が)連携し抑止力を維持しているという思いに至った。浅はかと言われれば、その通りかもしれない」と語ったが、首相発言としては信じ難い。

 なぜならば、鳩山首相は昨年12月、旧民主党当時の「在日米軍の整理・縮小を目指した常時駐留なき安保」という主張を、「かつてそういう思いを持っていた。総理という立場になったいま、その考え方を封印しなといけない」と言明しているからだ。

 つまり、民主党が政権の座に就き、自らは首相になった以上、日米同盟堅持の観点から「海兵隊が沖縄に常時駐留する必要性はない」という考え方を改めたと言ったに等しい。

 外交・安保政策は国益を忖度して怜悧冷徹に判断を下さなければならない。同時に、その継続性もまた求められる。

 事実、鳩山首相は11月段階で、「既存の日米合意どおりに実行することを受け入れ、その代わりに中期的な日米安保の見直しを含む日米の戦略対話(21世紀の日米同盟の進化を図る二国間会議)をスタートさせることを実現するという、首相のアドバイザーである寺島実郎日本総合研究所会長の提言を是認していた。

 06年5月の日米合意、いわゆる現行案である。名護市辺野古沿岸部を埋め立ててV字滑走路を米軍キャンプシュワブ陸上部に建設するという計画のことだ。現在、取り沙汰されている現行案修正案は、辺野古沿岸部に杭打ち桟橋方式(QIP)で1800メートルの滑走路1本を建設するというものである。

 沖合埋め立ては自然への冒涜であり、杭打ち桟橋建設がそうではない、の是非はともかく、「県内移設」に変わりはない。

 首相が「最低でも県外移設と言ったのは自分自身の発言であって、党の選挙公約ではない」(5月6日午前)と強弁しても、沖縄県民はもとより、国民が納得するはずがない。誰の目にも「公約違反」は明らかであり、その政治責任から免れるものではない。

「蓮舫行政刷新相」という抜擢人事も

 鳩山由紀夫という政治家は、当選1回時に自民党竹下派にあって派閥横断の「ユートピア議員連盟」を結成、当選3回時には自民党を離党・新党さきがけ結成に参加、後に非自民細川護煕政権の官房副長官(政務担当)に就任した。

 4回生時代には菅直人副総理・財務相と「鳩菅民主党」を結成、5回生時代に小沢自由党と合流し、現在の民主党を立ち上げた。そして当選8回目に念願の政権交代を果たした。

 こうしてみると、鳩山氏は政策立案や法案作成などでは際立った功績を残していないことが分かる。外交好きで知られるが、安全保障政策についての深い理解もなければ、リーダーシップも欠如しているのが実情である。

 ところで、6日夜、枝野幸男行政刷新相と酒食をともにする機会を得た。民主党のツートップである鳩山首相と小沢一郎幹事長の2人の交代という「リセット」以外、現下の同党が直面している「5月危機」打開の手立てはないというのが枝野氏の考えであった。

 が、普天間問題では首相の資質まで問われている鳩山氏、そして検察審査会で「起訴相当」の議決が下った小沢氏はともに辞任する意思はまったくなさそうだ。

 そこで浮上したのが、これまでも取り沙汰されてきた内閣改造説である。念のために記すが以下は、枝野氏の直接の言及ではない。

 現行案修正案に事実上の回帰という移設先決着によって、恐らく引責辞任することになるはずの平野博文官房長官の後任に仙谷由人国家戦略相を起用、同相に古川元久内閣府副大臣を昇格させ、官房副長官(政務担当)に枝野行政刷新相、その後任にあの蓮舫参院議員を抜擢するというのである。

 批判が集中する官邸の機能強化のためのウルトラCだ。当夜の枝野氏が相当思い詰めていたということは、明らかにしても許されるだろう。

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