メディア・マスコミ

受信料を払いたくない人も納得の「大胆なNHK分割案」を示そう

なくてはならない機能もあるからこそ

NHK裁判の本当の意味

マスコミ・通信放送業界にとって、この一週間は大きな出来事が続いた。もっとも、自らの業界についての話題なのに、多くは報道なし、あるいはやや報道をしてもピント外れのものが多かった。

大きな出来事とは、12月6日(水)の(1)NHK受信契約訴訟での最高裁判決(http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf)と、8日(金)の(2)電波制度改革での閣議決定(http://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf)のことである。

もう一つは、電波オークションについてだ。8日の閣議決定は、電波オークションについて、11月29日に公表された規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)の第2次答申(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/toshin/171129/toshin.pdf)で示された事項を「着実に実施」するとされている。

12月7日には、NHK決算についても国会で審議されている(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DC6A36.htm)。

これらの、メディアにとっての「重大事項」について、メディアはどう扱ったか。

(1)NHK受信契約訴訟については、当事者のNHKが、

NHK受信契約訴訟 契約義務づけ規定は合憲 最高裁大法廷(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171206/k10011248431000.html

と報じた、これは他のメディアでもほぼ同様だった。

(2)一方の電波制度改革については、

オークション先送り(https://mainichi.jp/articles/20171130/k00/00m/020/102000c

とシンプルなもので、報道の数自体も少なかった。

 

まず(1)についてだが、最高裁判決の報道には微妙な点もある。受信料制度は「憲法に違反しない」との判決であるが、報道では「NHKが裁判で勝った」かのような印象で報じるものが多かった。しかし、実はそうでもないのだ。

NHKとの契約については放送法64条1項で「協会(NHKの意味)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定められている。ただし、契約をしない場合の罰則はない。

今回の判決では、この受信料の契約では、NHKからの一方的な申し込みでは契約や支払い義務が生じず、「双方の合意が必要」としている。つまり、NHKが受信料を巡る裁判を起こして、その裁判の結果が確定すれば契約は成立するというわけだ。この場合、受信料はテレビを設置した時期に遡ってはらうとしている。

つまり、今でもNHKは料金不払いを続けるもの(や組織)に対して訴訟を起こしているが、今回の最高裁判決は、「NHKが勝訴した場合には、テレビ設置に遡って料金を払う必要がある」と言っているだけであり、実は現状が大きく変わったわけではないのだ。この意味で、NHKが勝ったとはいえないのである。

もっとも、「裁判に負けた場合、受信料はテレビを設置した時期に遡って払う」というのは、料金不払いでNHKから訴訟された場合に負けることを考えれば、大変なプレッシャーになり得る。これで、未払いを続ける人の心理的な負担は大きくなるだろう。これから、NHKは料金不払い者に対してどんどん訴訟に踏み切る可能性もあり、その場合に、NHKの脅し文句につかわれるかもしれない。

一方、もしNHKに裁判を起こされた場合、訴えられた人が裁判の途中で「テレビは故障していたので廃棄した」と主張したら、どうなるだろうか。テレビを設置した時期の証明は困難なので、確定判決を得ることはできない可能性がある。つまり、ひょっとしたら今回の判決も、実際上の意味はかなりなくなるかもしれないのだ。実際、テレビ設置をした時点で契約の義務が発生するというものの、故障したテレビでは契約義務があるかどうかの判断は微妙である。

いずれにしても、今回の判決によって、今後、NHKは料金不払いについての訴訟を多く起こすようになるだろう。なぜならば、訴訟して勝訴しないと契約を結んだことにならないからで、契約がなければ支払い義務はそもそも発生しないからだ。

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