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ゼロからわかる「若者と自殺」〜なぜ彼らは「死にたい」と言うのか

年末に自殺予防について考える
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自殺、それは「助けを求める叫び」

この記事を目にしたとき、今年発生した座間市の事件が頭によぎっただろうか。それとも、いじめ自殺や過労自殺といった言葉を連想しただろうか。

各種報道を通じて、「若者と死」という話題に少なからず注目が集まっているのだが、そもそも彼らあるいは彼女らはなぜ「死にたい」と口にするのだろうか。

かつて自殺予防学を打ち立てたエドウィン・シュナイドマンは、自殺は「助けを求める叫び cry for help」であるとした。

若者が「死にたい」と口にするのは、彼ら彼女らが周囲に対して助けと求めているから、そして「本当は生きたい」と叫んでいるからなのだ。

それでは若者はどのような苦しみを抱えているのだろうか。

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若者が死にたくなる理由を問う前に

若者が死にたくなる理由を考える前にまず確認しておくべきことがある。それは自殺に至る経路は様々であり、特定の原因が直ちに自殺を招くわけではないということである。

そのため、いじめや過重労働と自殺を簡単に結びつけることは、かえって物事の本質を見えにくくしてしまう危険性がある。

またいくつかの調査を通じて、自殺念慮は10代半ばから急増することや、若者の3〜4割が一度は自殺を考えたことがあると指摘されている。

 

この話をすると大抵の人は「そんなにいるんだ!」と驚かれるが、当の若者からは「私もこれまで死にたいと思ったことがある」「死にたいなんて思っているのは自分だけかと当時は思っていた」といった声もよく聞く。

死にたい思いを抱いていても周囲にはなかなか話せないことが、この印象の差異に関わっているのかもしれない。

ところで若者が死にたくなる背景には、自己存在の意味や生きている価値が分からないなどの実存的な悩みがあること、そしてそうした経験を通じて自らの生きる意味を見出していくことも指摘されている。

そのため「死にたい」と考え、口にすることには肯定的な側面もあるということにも留意すべきである。

同時に、死にたいと考え、口にすることと(自殺念慮)、実際に自殺を実行すること(自殺企図)は、大きく異なることにも注意が必要である。

というのも「死にたい」と口にする若者が必ずしも「本気で」自殺を考えたり、実際に自殺を実行したりするわけではないからである。

こうした前提を踏まえた上で、若者の自殺予防について考えてみることには意味があるだろう。明快な答えはないが、支援へのいくつかのヒントがあるからだ。

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