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企業・経営 週刊現代

GM社長が明かす「その昔、私はいじめられっ子だった」

若松格社長に聞く

キャデラック、シボレーなどを販売するゼネラルモーターズ・ジャパンを取材した。同じ米国のメーカーであるフォードは'16年に日本から撤退したが、ゼネラルモーターズ(以下、GM)傘下のGMジャパンは、ラグジュアリーカー、プレミアムスポーツカーの販売が好調で、業績を伸ばしているという。

GMインターナショナルで商品開発、戦略提携事業、セールスマーケティング等を経験してきた若松格社長(51歳)に聞いた。

ゼネラルモーターズ・ジャパンの若松格社長

忘れられないアメリカの景色

【独自性】

日本は自動車産業国としてはトップレベルですが、自動車の文化はもっと豊かでいいと思っています。「省エネ」「コンパクト」といった要望を満たす車は多彩ですが、自動車の魅力はそれだけではないはず。

たとえばキャデラックには、外見はもちろん走りから内装にまで「アメリカンラグジュアリー」の文化が反映されています。米国は多人種国家だから、シートは「どんな体型の方が乗っても快適に座れるように」と6WAY、10WAY(6ヵ所、10ヵ所が動く)でアレンジできます。また米国や中国では、エアバッグが開いた瞬間にエマージェンシーコールが鳴るなど、24時間のコンシェルジュサービスも受けられます。

これらはほんの一例。当社は「自分の感性に響く車を選びたい」と考えるお客様に、日本車とは別の選択肢を提示して業績を伸ばしています。

【世界性】

最近好調の理由は、単純に「いい車」を出しているからだと思います。いままで米国車というと「大きい」「重い」と思われてきましたが、新しいキャデラックは燃費と機敏な動きが自慢です。重量は同クラスの日本車、ドイツ車より軽く、状況に応じてエンジンの気筒をいくつ使うか変えられるなど、技術的にも進化しています。

どの企業にも強みがあると思いますが、GMの強みは、全世界から新たな技術や新素材を集約できること。戦前は大阪に工場を持っていたこともあるなど、当社は世界でも最初期に生まれたグローバル企業です。この強みが、開発にも活きています。

 

【旅】

私は米国で幼少期を過ごしました。ジャーナリストだった父がワシントンDCへ赴任する際、家族で移住したのです。中古のシボレーに乗って家族旅行し、後部座席から見た米国の景色が今も忘れられません。

日本に帰ってきたのは'70年代前半、小学校3年生のときでした。英語なまりがあったため、学校では「外人」といじめられました。しかし次第に「こいつ脚が速いぞ!」と認められて仲間ができ、いつしか私は英語も忘れるほど日本の少年になりきっていました。

そして大学生の時、私は独り、旅に出ました。米国を訪ね「故郷」の街へ行くことにしたのです。長距離バスに揺られ、窓の外に見覚えがある町並みが近づいてきた、その時です。忘れかけていた思い出が一気によみがえって、ふと私は自分が何者なのかまったくわからなくなり―「アイデンティティクライシス」と言うのでしょうか―気付けば涙が止まらなくなっていたのです。

人生の転機といえば、私はこの瞬間だと思っています。

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